25日に開催された下院特別委員会が、農薬規制緩和法案を賛成18票、反対9票で承認したと、26日付現地各紙が報じた。
同法案はブラジル国内における農薬の登録、監査、使用の規制を緩和する内容で、報告官は西森ルイス下議(共和党・PR)が務めた。
同法案では当初、農薬を「植物保護製品」と定義していたが、「殺虫剤」と呼び替えた。また、従来は保健省、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)、農務省の3機関が行っていた農薬の監査や規制が、農務省に一本化される。
また、農薬の生産や流通の許可も、これまでは最大で8年間かかっていたものが、登録までが2年間となり、2~3年で流通するようになる。
また、これまでは存在しなかった「期間制限付きの登録」も、国際経済開発協力機構や国連の食糧農業機関の参加国中、最低3カ国で登録されているものに限っては、調査や実験のための許可が30日限定で出る。
反対派の共産党(PCdoB)や労働者党(PT)などは、「同法案は〃毒の法案〃だ」とレッテルを貼って攻撃し、同法は国民の健康を害し、大手企業、大規模生産者の利益にしかならないと批判した。
イヴァン・ヴァレンテ下議(自由社会党・PSOL)は、「同法案は、ブラジル社会の利益と相容れない。国民の健康や自然環境にとっても害悪だ。大規模農家の利益になるだけ」と批判している。
反対派は採決を遅らせるべく行動を取ったが、推進派はこれを「不当に阻止した」と攻撃した。しかし、特別委員会議長のテレーザ・クリスチーナ下議(民主党・DEM)は、「議事進行は全て正当。我々は反対派の声にも真摯に耳を傾けた。嘆かわしいのは、『この法案は国民の食物を毒する』などと嘘を言ってまで反対していること」と反撃した。
アジウソン・サケッチ下議(ブラジル共和党・PRB)も、「ブラジルは農薬使用の分野で他国に遅れをとっており、現代の実情にあった法整備が必要だった」と語った。
同法案は今後、下院本会議で審議されるが、下院審議は10月の選挙後との声も聞かれている。