【既報関連】最高裁第2小法廷が26日に周囲を驚かせる判決を連発し、関係者の間から「最高裁は戦争状態」との声が出始めていると27日付現地紙が報じた。
26日の判決は、労働者党(PT)の大物政治家のジョゼ・ジルセウ氏と進歩党(PP)元会計のジョアン・クラウジオ・グヌ氏の保釈、サンパウロ州の給食疑惑でのフェルナンド・カペス同州議会元議長(民主社会党・PSDB)への訴訟差し止め、先日、免罪判決を得たPT党首のグレイシ・ホフマン上議と企画相と通信相を歴任した夫のパウロ・ベルナルド氏の公宅で、16年に行われた家宅捜索の無効化だ。
これらは皆、ジアス・トフォリ、ジルマル・メンデス、リカルド・レヴァンドウスキの3判事が賛成、エジソン・ファキン判事は反対で決まった。セウソ・デ・メロ判事は欠席していた。
同小法廷でファキン判事が孤立しているとの見方はグレイシ氏らの免罪判決前からあったが、26日の結果はそれを如実に示した。
しかも、ジルセウ氏保釈の件は、ファキン判事の見直し要請後に他の判事達が投票を強行という異例の判決だった。ファキン判事は同件報告官のトフォリ判事に「第2審後に刑を執行する事を認めた判例を無視するつもりか」と詰問したが、トフォリ判事は「判例は無視していないし、その件は現在審理している内容とは別件だ」と答えて審理を進めている。トフォリ判事は、ジルセウ氏は高等裁や最高裁で減刑される可能性が高く、特別上訴や特別抗告の審理以前の逮捕は違憲との弁護側の主張をそのまま認めた。ジルセウ氏は27日未明に自宅に戻った。
この言い分はルーラ元大統領の弁護団も主張しており、元大統領の要請が第2小法廷で審理されれば、ルーラ氏保釈となる可能性は高かった。
また、グレイシ上議の公宅捜索令状はベルナルド氏の名前で要請されたが、上議には法的特権があり、最高裁が令状を出すべきだから、捜索は違憲として無効化された。
ファキン判事は27日朝、「意見や見解の相違は当然起こる」とした上で、「判事は皆、法廷に入る時には個人的なイデオロギーなどを扉の外に置いて来る」という表現で、個人的な理由に左右されない判断をしてきた事を強調した。同判事は「私は法のみに則り、かくあるべきと判断したところに従って票を投じているから、常に平安でいられる」とも述べた。
トフォリ判事は9月に最高裁長官となるため、9月からはカルメン・ルシア現長官が第2小法廷に加わる。司法界では、構成メンバー交代で、第2小法廷も第1小法廷なみに厳しい判断を下すようになると見ている。