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《ブラジル》組合税廃止、最高裁で決定=「憲法に抵触せず」と判断

組合税廃止の是非を議論する最高裁(José Cruz/Agência Brasil)

組合税廃止の是非を議論する最高裁(José Cruz/Agência Brasil)

 昨年11月11日に改正労働法が施行されてから、法解釈を巡る争いは絶えることがなかったが、最も多く論争を引き起こしていた、組合税の徴収に関する問題が、6月29日に最高裁大法廷で決着を見た。判事投票6対3で「組合税(の強制徴収)廃止は憲法に抵触しない」との結論が出たと、6月30日付現地各紙が報じた。
 同件では、ルイス・フクス、アレシャンドレ・デ・モラエス、ルイス・ロベルト・バローゾ、ジウマール・メンデス、マルコ・アウレリオの各判事とカルメン・ルシア長官が組合税の強制徴収廃止に賛成。報告官のエジソン・ファキン、ローザ・ウェベル、ジアス・トフォリの3判事が同税の強制徴収廃止に反対した。リカルド・レヴァンドフスキ、セルソ・デ・メロ両判事は欠席した。
 これにより、労組は労働者から、1年に1日分の給与を強制的に徴収することができなくなる。
 「組合税廃止」は、改正労働法の条文中、労組からの批判が最も多かったポイントだ。労組側は、「組合税が廃止されれば、労組は大きな収入源を失い、弱体化するから、企業との交渉において労働者を代表し、その権利を守る力も弱くなる」と主張していた。
 報告官のエジソン・ファキン判事は、1988年制定の憲法には、ブラジルにおける労働組合を支える三本柱、「団結している」「労働者の立場を代表している」「労働者も必ず組織に貢献する」が規定されているとした上で、組合税の廃止は、「労働者も必ず組織に貢献する」に抵触するため、憲法改正なしに、組合税は廃止できないと主張したが、過半数の判事は賛同しなかった。6判事は、組合税があることで、真に労働者の利益にならない組合が増殖しているとした。
 労働者の利益、立場を代弁しない組合がいたずらに増え、労働者から組合税を取り立てていると、「組合税廃止」論者は主張してきた。大手法律事務所のドミンドス・フォルトゥナート弁護士は、「労働者に『組合税を払ってでも加入したい』と思わせるような取り組みを行い、結果を出す事が、今後の各労組に求められる」と語る。
 ブラジル3大労組組織である、中央統一労組(CUT)、フォルサ・シンジカル、一般労組(UGT)は今年、あわせて1億レアル分の組合税収入が減少した。