【既報関連】昨年末から提携交渉を噂されてきた、米国の航空機製造会社ボーイング社とブラジルのエンブラエル社が5日、両社共同出資で、ブラジルに商用機製造会社を設立すると発表した。同日付現地紙、サイトが報じている。
共同出資会社(ジョイントベンチャー)の資本金は47億5千万ドルで、出資比率はボーイング社80%、エンブラエル社20%で、ボーイング社の出資金は38億ドル、エンブラエル社は9億5千万ドルだ。
2017年、エンブラエル社は187億ドルの利益を上げ、その内の57・2%、107億ドルは商用機部門で上げたものだった。
両社は「今回の合意は、エンブラエル社の商用機製造事業とボーイング社のマーケティング、飛行機購入後のサポート、機体の運行事業を戦略的に統合した企業を作ることを目的としている」と発表した。
エンブラエル社の「黄金株」を所持し、議決権を持つブラジル政府は、両社の合意を無効にする権限も持っているが、5日午前の段階では同件についてコメントを発表しなかった。新会社設立のためには、さらに、ボーイング社、エンブラエル社の株主の承認、米国とブラジル両国の株式市場監査機関の承認も必要となる。
これら全ての承認が順調に得られたとしても、新会社の設立は来年2019年末となる。
2015年以降、両社は、サンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポス市で飛行機用のバイオ燃料の研究機関を共同運営している。エンブラエル社とボーイング社は、エンブラエル社の軍用空中給油機/輸送機である、エンブラエルKC―390の輸出を行う別の共同出資会社を設立する意思も見せている。
今回の両社の合意は、飛行機製造業界では、昨年10月にフランスのエアバス社が行った、「カナダのボンバルデア社の事業会社への50%以上の出資」に次ぐ規模の事業提携だ。
なお、昨年12月21日にエンブラエル社とボーイング社の合併の噂が流れて以来、エンブラエル社株は7月4日までに63%も上昇していたが、両社がジョイントベンチャー設立で合意との報が流れた5日は、午後2時の時点で前日比15・9%ダウンした。