ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》穏やかな選挙前哨戦=大統領候補が経済政策披露=企業家らを前に活発な討論=労働法関連発言に不満の声

《ブラジル》穏やかな選挙前哨戦=大統領候補が経済政策披露=企業家らを前に活発な討論=労働法関連発言に不満の声

CNI主催会議で発言するマリーナ・シウヴァ候補(Andre Carvalho/CNI)

CNI主催会議で発言するマリーナ・シウヴァ候補(Andre Carvalho/CNI)

 およそ2千人の企業家の前で主要大統領候補が経済政策を披露する、全国工業連合(CNI)主催の会議が4日、ブラジリアで開かれ、ジャイール・ボルソナロ(自由社会党・PSL)、マリーナ・シウヴァ(持続ネット・Rede)、シロ・ゴメス(民主労働党・PDT)、ジェラウド・アウキミン(民主社会党・PSDB)、エンリケ・メイレレス(民主運動・MDB)、アルヴァロ・ジアス(ポデモス)の6人が討論を行ったと、5日付現地各紙が報じた。

 PDT副党首のゴメス氏は、工業界の発展のために為替介入を強めると共に、公的銀行を使い、事業融資の利息を引き下げると語った。
 アウキミン候補が法人税引き下げを訴え、シウヴァ候補がテメル現政権の行った労働法改革には改善すべきところがあると語った時には企業家たちから不満の声も聞かれたが、現実路線で〃穏健左派〃のゴメス候補も、昨年改正された労働法には見直すべき点もあると語った。
 アウキミン候補は、米国の法人税引き下げを例に挙げ、「米国に倣い、自国産業を活発化させ、投資を呼び込まなくてはいけない」としたが、具体的財源については明言せず、会議後にスタッフが、「株式配当税を考えている」と語った。
 会議に参加していた企業関係者からは、法人税率を下げても、経済が活性化し、雇用が増えれば、税収も増えるはずとの声も出た。
 ゴメス氏は、為替の他に金利についても触れ、「二つともブラジルの工業の発展を妨げている」と批判。公的銀行のブラジル銀行(BB)や連邦貯蓄銀行(Caixa)を使って金利を下げるとした。
 企業関係者は、金利を下げる事には賛同したが、金利を下げるために政府が介入しても、効果は短期的で、上手くいかないのではと語った。
 事業融資の金利引き下げはメイレレス候補、シウヴァ候補も言及したが、両氏は公的銀行の使用は語らなかった。
 改正労働法に関して、シウヴァ候補は「いくつかの酷い部分を見直す」とし、ゴメス候補も「改正は〃がさつ〃だった」と語ったが、一部聴衆からは非難の声も出た。ゴメス候補は、「こうなると分っていましたよ。軟弱な大統領を選びたいなら、耳障りの良い事だけ言う候補者から選べばよい。信頼とは好感ではない」と語った。
 ボルソナロ候補は、ブラジル経済において、国家の力を弱め、民間の力をより活かすことと、省庁削減を訴えた。また、これまで通り、軍関係者を今以上に要職に就ける事も約束したが、聴衆からは、企業にとって最大の関心事、例えば社会保障政策に関しては何も語らないと批判も浴びた。
 論争の中心は、為替介入と経済基本金利(Selic)を含む金利、減税だったが、ジアス候補は社会保障制度改革の必要についても訴えた。