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ブラジル極真空手の第一人者=磯辺師範にサンパウロ市名誉市民章

サンパウロ市名誉市民章を受章された磯部氏(撮影・Cintia Yamamoto)

サンパウロ市名誉市民章を受章された磯部氏(撮影・Cintia Yamamoto)

 ブラジル極真空手の第一人者であり、師範である磯部清次さん(70、福井)に、先月29日、サンパウロ名誉市民章が授与された。72年に当地で道場を開設し、南米全体に極真空手を普及させてきた長年の功績が称えられた。
 パウロ・フランジサンパウロ市義の発議により、サンパウロ市議会で表彰式が執り行われた。同市議は、軍事独裁政権下の70年代に渡伯し、「サッカーしかない国に極真空手を持ち込むことがどれだけ困難だっただろうか」とその苦労に思いを馳せた。
 磯部さんは「私に信頼を置いてくれる弟子に伝授するため、自らの技術を磨き上げてきた」と来伯当初を振り返り、「極真空手の奥義を極めることは、己を知ること。両親を敬い、祖国に忠誠を誓うことに拠って立つものだ」との信念で指導にあたってきたという。
 「他国の選手にも対抗できる第一線の選手を育て上げたい」――磯部さんはそう目標を設定。99年に外国人として初めて全世界空手道選手権大会で優勝を果たした〃極真の怪物〃の異名を持つフランシスコ・フィリョをはじめ、世界レベルで活躍する数々の選手を育て上げてきた。
 今日では、ブラジルを含めた南米において黒帯を保有する生徒が500人以上。受章を受けて、「本当に誇らしいこと。家族をはじめ、支援者、生徒、全てのブラジル人に感謝を捧げたい。ブラジル万歳、押忍」と締め括ると、拍手に沸いた。
 愛弟子のフランシスコさんは「我々は目標を見つけ、全てが可能であることを信じるべき。磯部師範は日本を出て成功したパイオニアの一人であり、ブラジル人にとっての模範だ」と語り、「だが師範の最大の偉業は、幸福と平和を希求し、人々の人間形成を手助けしたこと。我々はこの名誉を強く誇りに思う」と賛辞を送った。
 式典には、磯部さんの弟子やブラジル極真空手連盟関係者が列席し、表彰への喜びを共に分ち合っていた。