2014年にノーベル平和賞を受賞した人権運動家のマララ・ユスフザイ氏(21)が、三つの教育事業を支援するためにブラジルを訪問中だ。彼女が代表の「マララ基金」が支援するのは、サンパウロ市の「教育活動」とバイア州サルバドール市の「先住民活動全国協会」、ペルナンブコ州レシフェ市の「青少年の権利取り戻し運動」だ▼サンパウロ市での活動はデニーゼ・カレイラ氏が1994年に始めたもので、男女平等という視点で教師を訓練するオンライン講座を開設。性にまつわる暴力や教育における性差別に関する報告書も出している▼バイア州での活動はアナ・パウラ・フェレイラ・デ・リマ氏らが1979年に開始。先住民の文化の独自性や政治、経済のあり方を認めかつ尊重し、先住民が自分達で決断する権利を守る事が目標だ。リマ氏も教師として働いてきたが、現在は、先住民の少女60人を若い活動家として育てると共に、少しでも多くの先住民少女達が基礎教育課程を終える事が出来るよう支援している▼ペルナンブコ州での活動は、「幼少青年の人権を擁護し、あらゆる差別と戦いつつ、活動的な市民と急進的な民主主義を育てる」との旗印の下で1990年に始まった。会長のシウヴィア・シケイラ・カンポス氏は13歳から活動に参加し、同協会を支えてきた▼黒人家庭で基礎教育課程を終える子供は僅か30%、人口の0・5%に過ぎない先住民が非就学者や非識字者の30%を占めるといったデータを挙げ、教育の機会は全国民に保障されるべきだと訴えるマララ氏。保健・教育関連予算さえ削り、政党の選挙資金確保や財政赤字削減を図る政治家達にはさぞかし耳が痛い事だろう。(み)