中米の最貧国ニカラグアが4月以降、ダニエル・オルテガ大統領と妻のロザリオ・ムリロ副大統領の退陣要請などで揺れている。
14~16日付ブラジル国内紙や同サイトは、13日のゼネストや、4月以降の抗議行動の死者が300人近い事、15日も新たなデモが起き、10人が死に、20人が負傷した事などを報じている。
ニカラグアで続く抗議行動の発端は、同国政府が年金制度における雇用者と労働者の負担を5%増やす法案を採択した事で、4月18日からデモが続いている。
当局は、大統領が対話を提案したがデモ隊が拒否したため、鎮圧を図ったというが、鎮圧には、警察と民間の武装者(一種の民兵、ミリシア)も加わっている。また、死者の大半は頭や胸を撃たれており、政府や体制派による武力制圧的要素が強い。オルテガ大統領は4月22日に社会保障改革撤回を表明したが、デモは終結せず、4月18日~7月10日の死者は266人(一説では350人)、負傷者は2千人超とされている。
13日のゼネストや、14~15日のデモは混乱に輪をかけた。13日の24時間ストは6月14日に続くもので、参加者らは大統領夫妻退陣やデモ制圧反対を訴えた。この日も4人が死亡、数十人が負傷した。
また、14日には、首都マナグアでも特に強硬なデモ制圧が行われた地区でデモが行われ、汚職や縁故採用が際立つ現政権を批判。大統領退陣や選挙前倒しを求めた。
15日のデモは、1936年に始まったアナスタシオ・ソモサ大統領父子によるソモサ独裁王朝打倒のため、1979年にサンディニスタ民族解放戦線が集結したマサヤ市に向かうべく、オルテガ大統領が企画した行進と関係がありそうだ。
当日は、政府と反体制派の間の対話を探っていた宗教的指導者5人の内の1人の神父が、マサヤ市に向かう途上で襲われたりして、混乱が激化。マサヤ市や周辺の町で、未成年者2人を含む民間人6人と突撃隊の警官4人が死亡した。
中南米諸国は、4月23日にブラジルやアルゼンチンなどの南米7カ国が同国内の抗争停止を求める文書提出など、折々に平定化を呼びかけている。だが、オルテガ夫妻は辞任を拒否し続けるなど、状況は一向に改善していない。