8月半ばの大統領選のキャンペーン開始まで約1カ月、選挙戦に出馬する候補公認のための党大会開催期日(7月20日~8月5日)も迫っているにもかかわらず、各候補者が現時点になってもいまだに副候補も連立政党も決まらない異例の状況が続いている。17日付現地紙が報じている。
現在逮捕中のルーラ元大統領(労働者党・PT)を除いた場合の世論調査では支持率1位のジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)は、所属が小政党である上、大型政党との連立がひとつも決まっていない。同氏は副候補に共和党(PR)のマグノ・マウタ上議を望んでいるが、同氏の夫人が強硬に反対。PRも、党幹部はボルソナロ氏との連立を望んでいるが、女性議員たちは同氏が行ってきた極右主義的、かつ女性差別的発言を嫌い、連立に反対しているという。
ルーラ氏抜き(以下同)で支持率2位のマリーナ・シウヴァ氏(REDE)も小政党所属で、現状では連立のあてもない。副候補も見つかっていない状況だ。
最も動向が注目されているのは、現在3位のシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)だ。同氏は旧所属政党のブラジル社会党(PSB)との連立を望み、それは決定事項かとも思われていたが、同党の北東支部がルーラ氏支持を熱望して、党が二分している。
シロ氏にはさらに、テメル大統領の連立政権に反旗を翻したロドリゴ・マイア下院議長を頭とする民主党(DEM)、進歩党(PP)、ブラジル共和党(PRB)らのセントロン系政党が支持に回るのではと言われてもいるが、これもまだ曖昧なままだ。こういう状況ゆえ、シロ氏も副候補が決まっていない。
支持率4位のジェラウド・アウキミン氏(民主社会党・PSDB)は、中道右派勢力内でのPSDBの影響力低下でセントロン勢力を失う危険性があり、さらに副候補も決まっていない。ただ、社会民主党(PSD)、ブラジル労働党(PTB)、社会大衆党(PPS)との提携は決まっており、連立交渉が最も進んでいる。
支持率5位のアルヴァロ・ジアス氏(ポデモス)は、アウキミン氏の陣営の一部が副候補として同氏を望んでいるとの説がある。
そして、これらの各候補者の連立を躊躇させている最大の要因がルーラ氏の存在だ。PRがボルソナロ氏との連立をまとめきれないでいるもうひとつの理由が、同党元党首でルーラ政権時に副大統領を務めた故ジョゼ・アレンカール氏の息子のジョズエー・ゴメス氏をルーラ氏の副候補としてつけたいとする勢力が存在するためだ。
また、独自候補を出しているブラジル共産党(PCdoB)や社会主義自由党(PSOL)らの左翼政党も、PTの出方次第では自候補を取り下げ、PT支持に回る可能性が残されている。