ブラジル連邦政府は国内の公的銀行、連邦貯蓄銀行(Caixa)の自己資本比率を高めるため、年末までにおよそ20億レアルを投入すると、20日付現地紙が報じた。
これは、「銀行は信用危機に備えて自己資本比率を高めなくてはならない」とするバーゼル合意を守るために行われる。Caixaは昨年、過去最大の125億レアルの利益(16年の利益41億レアルのおよそ3倍)を計上したが、国内法に基づき、利益の25%を国庫庁に差し出していた。
今度はその金の動きが反対になる。この資本投入はブラジル中銀も了承しており、年末までに2回に分けて行われる。
Caixaは少なくとも3年前から、財務省に対し、自己資本比率を高めるための援助を要請していたが、政府の経済政策スタッフはCaixaに経営方針見直しを求め、政府から援助することを断ってきた。
Caixaは当初、勤続期間保障基金(FGTS)から150億レアルが入ってくる事を期待していた。この件は連邦議会でも承認されたが、連邦会計検査院(TCU)や検察庁が、FGTSをCaixaの自己資本とすることは、本来の目的に反するとの見解を表明したため、立ち消えた。
FGTSからの資金が入らなかったため、Caixaは支出削減に努めたが、それにも限界があり、政府からの20億レアルに頼ることになった。
2000年以降、Caixaは常に、ブラジル経済発展のために積極的に融資を行う役割を政府から託されてきた。しかし、2017年の融資総額は、過去15年間で初めて前年比ダウンを記録した。以前は、融資総額が前年比40%アップを記録していた時期もあるが、13年から16年の前年比アップ幅は縮小していた。
バーゼル合意は、国際的に活動する銀行の自己資本比率などに関する国際統一基準で、2017年に新しい枠組み(バーゼルⅢ)が成立した。2008年の世界金融危機を契機とし、バーゼルⅡを見直す形で成立したバーゼルⅢでは、ブラジルの銀行には自己資本比率11%以上を課している。
政府からの援助と融資の見直しによって、Caixaはこの基準を満たせるだろうと、関係者は語っている。
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