ブラジル連邦警察は26日、汚職捜査ゼロテス作戦第10弾を決行。リオ州、サンパウロ州、リオ・グランデ・ド・スル州、ペルナンブッコ州の4州と連邦直轄区で、合計9件の家宅捜索令状を執行したと、26、27日付現地紙・サイトが報じた。
ブラジリアの第10連邦法廷のヴァリスネイ・オリベイラ判事は、銀行口座、電話、Eメール、携帯メッセージによる通信など、捜査対象者の個人情報保護権を解くことを認めた。
家宅捜査の対象者には、ジウマ政権の貿易局長ダニエル・ゴジーニョ氏や、サンパウロ州知事候補のジョアン・ドリア前サンパウロ市長(民主社会党・PSDB)の政策コーディネーターだったロベルト・ダ・フォンセカ氏が含まれていた。この2人は、税務審理審議会(Carf)が2014年にパラナパネマ(P)製鉄に課そうとした6億5千万レアルの罰金取消のために暗躍したと考えられている。
ゼロテス作戦は、Carfの判断を不当に曲げて脱税を行う一連の悪事を暴くものだ。脱税計画は基本的に、企業がコンサルタント会社などを通じてCarfの審議官や元審議官に賄賂を払い、罰金免除などの利益を得るという形で行われた。
検察によると、P製鉄は、2007年に国税庁から不正を摘発され、14年にはCarfの裁きを受けることとなった。同社はこの件に対応するため、ダ・フォンセカ氏が社長を務めるカドゥーナ・コンサルタント社と800万レアルで契約。230万レアルはダ・フォンセカ氏に渡り、残りは、Carf元議長のエジソン・ロドリゲス氏と、娘で当時審議官だったメイガン・サッキ氏が共同経営者を務める弁護士事務所と、コンサル会社のグリーン・センチュリー(GC)が山分けした。GCの共同経営者で、弁護士のヴァルジミール・スピンドラ氏は、別の大企業に便宜を図るようCarf内で暗躍した嫌疑で既に告発されている。
弁護士事務所とGCは賄賂の一部を当時のCarf審議官たちに渡し、P製鉄の利益となるよう投票させたと検察は見ている。ロドリゲス父娘以外の当時のCarf審議官3人も家宅捜索の対象とされた。
検察によると、当時、貿易局長だったゴジーニョ氏は、GC共同経営者のスピンドラ氏と不審な会話を何度か交わしており、ダ・フォンセカ氏がP製鉄幹部と交わしたメッセージにも、同氏の名が出ていたという。
ドリア前サンパウロ市長の広報は、「ロベルト・ダ・フォンセカ氏は、ゼロテス作戦によってかけられた嫌疑を晴らすため、選挙運動から身を引く」との声明を発表した。
同氏は、大統領候補、ジェラウド・アウキミン氏(PSDB)とも協力関係にあったが、特定のポストには就いてなかった。アウキミン氏は26日、「彼は私の選挙運動に直接関わりはなかったが、常にPSDBの活動に協力してくれていた」と語っている。