ブラジル地理統計院(IBGE)が26日に発表した、2017年版農牧畜業調査によると、2006年から17年までの間に、ブラジル国内の農牧畜業用地は1657万3千ヘクタール(ha)増えている。
06年のブラジル国内の農牧畜業用地は3億3360万haだったが、17年には3億5020万haに増えた。
増加面積1657万3千haは、ポルトガル、ベルギー、デンマークの3カ国の国土を合計した面積とほぼ等しい。
ブラジルの国土は851万平方キロメートル、8億5100万haのため、農牧畜業用地の占める割合は41・1%だ。
農牧畜業用地の拡大はアマゾンの森林伐採とも関係しており、ブラジル26州と連邦直轄区の中で、最も森林伐採面積の広かったパラー州とマット・グロッソ州だけで、1290万ha分の農牧畜業用地が拡大した。
だが、IBGE調査技術コーディネーターのアントニオ・フロリド氏は、「農牧畜業用地はもっぱら原生林を切り開いて拡大した」と結論付けるのは早計だという。同氏によれば、06年の調査時には放置されていた牧場などを整備しなおして再利用している可能性もあり、慎重な調査や評価が必要だという。
アマゾン人間環境院(Imazon)の調査員、リタウマリア・ペレイラ氏によると、パラー州とマット・グロッソ州のように、近年、精肉加工場が増えた地域では、森林伐採の傾向が顕著だとしている。
全国農業連合(CNA)のテクニカルアドバイザー、パウロ・カムリ氏は、「森林伐採が増えたことで農牧畜業用地が増えた」とだけ結論付けるのは困難だと主張した上で、農牧畜業用地が増えた事だけを取り上げるのではなく、ブラジルで農業の技術革新が進み、同じ広さの農地から収穫できる作物量が増えた事も評価すべきだと語る。
06年から17年までの農牧畜業用地の面積拡大比率は4・9%だが、穀物収穫量は、06年の1億1720万トンから2億4060万トンへと、2倍以上に増えた。
収穫量の増加は農薬の使用率が20・4%増えた事や、機械化が進み、農業機械の数が49・7%増えて122万8千台に達した事とも関係している。だが、機械化が進むと共に、農業従事者の数は150万人減った。
一方、パラー州とマット・グロッソ州を中心に農牧畜業用地が拡大しているが、ブラジル北東部の九つの州では、06年から17年までの間に農牧畜業用地は990万ha減っている。
IBGEのアントニオ・フロリド氏はその理由を干ばつとし、「北東部のバイーア州やリオ・グランデ・ド・ノルテ州では、5年に及ぶ厳しい干ばつのため、広範囲で砂漠化現象さえ起きている。作物が採れなければおり、そこで農業や牧畜業を営んでいた人々の中には、土地を離れざるを得なくなった人も出てきている」と語った。(27日付フォーリャ、エスタード両紙より)