TVのCMで黒人家族を物語のテーマにしたことで、化粧品メーカー「オ・ボチカリオ」が視聴者から苦情を受ける一件が起きた。
ブラジルの化粧品大手「オ・ボチカリオ」は、ブラジルでは8月第2週の日曜日にあたる「父の日」のセールのCMを製作するにあたり、劇中の物語の主人公を黒人家庭にした。
CMそのものは、3人の子どもを持つ30~40代の父親が、家庭内で奮闘する姿をユーモラスに明るく描き、それを一家で称えるという、ほのぼのとした内容だった。
このCMは7月26日に同社のユーチューブの公式アカウントで公表され、7月31日までに1万7千人が「嫌い」を示す親指を下に向けたアイコンにクリックした。
「嫌い」と意思表示した人々はコメント欄に、「黒人家庭しか扱わないなんて人種差別」「オ・ボチカリオは黒人向けの製品しか作らないのか」「白人を入れないなんて多様性がないし、逆の意味の人種差別だ」などと書き込んでいる。
また同社のツイッターへの書き込みには「そのうち原住民の家族のCMも作るんだろう」という書き込みも見られた。
もっとも、ユーチューブへの「いいね」は「嫌い」の5倍の8万5千件あったが、同社は視聴者の反応を問題視し、ユーチューブとフェイスブックを通じて同社の見解を表明した。
それは「私たちはかなり前から、多様性や社会を代表する内容の作品でキャンペーンを行って来たし、そのことを誇りに思っている。だが、今回の反応は、私たちにはまだまだやるべきことがあることを明らかにしてくれた。私たちはあらゆる人たちに敬意を払っており、誰からも敬意が足りないなどといわれずに済む作品を送り出せるよう願っている」という内容で、人種差別という意識はないことを強く訴えるものだった。
同CMは、7月31日未明までの4日間だけで640万回閲覧されている。3カ月前に作られたジゼーリ・ブンチェンを使ったCMは、890万回再生されている。
オ・ボチカリオ社は2015年にも、6月12日の「恋人の日」向けに同性愛結婚をしたカップルを題材にしたCMを作り、倫理性を問う形の批判を浴びた。当時の批判の一部は国家広告自主規制審議会(Conar)にも届けられ、同審議会の審議対象にもされた。(7月31日付フォーリャ紙サイトより)