サンパウロ倫理法人会(須郷清隆会長)は、「世界12カ国ツアー」の最中のソプラノ歌手・鶴澤美枝子さん(67、香川県)を招き、「モーニンセミナー」を4日午前にサンパウロ市ホテルで開催し、「一寸先は輝く未来」をテーマとした貴重な人生体験と歌声を会員は堪能した。
鶴澤さんは世界50カ国の国歌を暗唱できるソプラノ歌手。6月17日に出発して、オーストラリア、ニュージーランド、チリを通って7月13日に来伯した。
6歳のときに脊髄膜炎にかかって一時は下半身部髄になった。医者がサジを投げる中、諦めずに母親と共にリハビリを続け、現在のように奇跡的に回復した経験を持つ。
鶴澤さんはプッチーニのオペラ《トゥーランドット》をいきなり全開で歌い始めると、マイクなしで部屋中に歌声が轟いた。続いてブラジル国歌、君が代、チリ国歌、ふるさと、アベマリア、最後に倫理頌歌「いのち燃やして」をオペラのように朗々と歌い上げると、満場総立ちとなった。
その合間には、ブラジリアの有名なカテドラル・メトロポリターナでは飛び込みで神父に頼み込んで「アベマリア」を歌ったこと、さらにチリのイースター島でも最初は拒絶されたが最終的には君が代をモアイ像に奉納してきた体験などが語られた。
来場者の小野幹夫さん(84、岩手県)=サンパウロ市在住=に感想をきくと、「素晴らしいの一言。オペラにはリリコ(柔軟で明るい響きを持つ叙情系の歌唱法)と、ドラマチック(よりパワフルで劇的な感情を噴出させる歌唱法)ある。普通はリリコで歌う君が代やふるさとを、見事にドラマチックで歌い上げた。大変珍しい」と評価した。専門的なコメントなので、理由を聞くと国立(くにたち)音楽大学声楽科卒だとのこと。
鶴澤さんは「人数は少なくとも、倫理の会の皆さんとは心が通じる。とても気持ちよく歌えた」と微笑んだ。