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栄枯盛衰のロンドリーナ厚生会=11月に先没者追悼慰霊法要

(左から)事務局長、中川委員

(左から)事務局長、中川委員

 戦後、パラナ州ロンドリーナ市の驚異的な発展と共に、その影で増加した生活困窮者や地方からの流浪人などの救済を目的として、1955年に発足したロンドリーナ邦人厚生会(木村保会長)。当初の目的を終えて分岐点を迎える同会だが、現在も細々と活動が続けられている。
 最盛期には2千人ほどの会員がいたが、現在では100人ほど。だが、活動内容に賛同する日系医師58人が加盟し、会員は診察料が半額になるという厚生事業が現在も行われている。そのほか、会館では9千冊以上の蔵書やビデオの無料貸出、俳句会も催され、親睦の場となっている。
 ブラジル日本移民110周年を迎えた今年、同会委員の中川芳則さん(89、二世)は、自身のダイヤモンド婚式に合わせ、11月に市内中央墓地にある納骨堂で、先没者追悼慰霊法要を企画している。
 65年に落成した納骨堂には、これまでに雄志空しく病死や自殺などで逝った21人の遺骨が納められているという。
 かつてはロンドリーナの日本人街として賑わい、同会会館のあるセルジッペ街も、今では日系商店が2、3軒に。当地日系社会の盛衰を見てきた中川さんは「移民110周年だからこそ、志半ばで亡くなった方をきちんと供養しなければ。これも厚生会の大切な役目なんですよ」と感慨深げに語った。