クリチーバ名物「針金オペラ座」をたった3カ月間でつくったように、中村矗さんは速さにこだわった。「いつまで経っても出来ないと市民の期待が憤りに変わる」からだ。
クリチーバの公園はほぼ連邦政府の支援を受けていない。中村さんは「支援をもらう手続きが面倒だったり、口出しされてやりたいように出来なくなるから」と話す。
ちなみにパラナ州のアサイ市の「旭城」がまさにそのケース。2年で出来るはずが10年かかったのは、支援条件が「下から1階できるごとに次の階の建築費を払う」という厄介なものだったからだ。本来は、施工中の雨をしのぐために屋根からつくる計画だった。結局、雨で何度も工事をやり直すことになり、その間に方針の異なる市長が就任し、築城が中断…。
中村さんは少ない予算でバンバン公園をつくった。そのコツは、資金不足で手が加えられない分、もともとの自然環境を存分に活かした公園を設計したことだ。むしろ、そのシンプルさゆえに長く市民から愛される結果になったとか。
まるで、新鮮な素材本来の味わいを引き出す日本料理のようだと感心した。(陸)