大統領選で高い支持率を記録しているジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)が14日、自身が政権をとった場合の政策大綱(ガイドライン)を発表。経済関係の4省を統合し、ペトロブラスなどの公社は民営化し、最低所得を保障するための社会福祉政策は維持するなどとした。15日付現地紙が報じている。
ボルソナロ氏は「汚職撲滅」の訴えと、軍出身であることに由来する治安面強化への期待から国民の共感を得ているが、「経済面に関する知識が乏しい」との批判をかねてから受けていた。
その批判に応じるように、経済政策を中心とする政策大綱が書面で発表された。これは同氏が大統領に就任した時の財相に予定しているマクロ経済の学者パウロ・ゲデス氏によるものだ。
それによると、ボルソナロ氏は、財務省、企画省、商工開発省、大統領府事務局の四つを統合して経済省とし、これまで4省が担ってきた機能を経済相に委ねるという。
さらに、連邦貯蓄銀行(CAIXA)やブラジル銀行、社会経済開発銀行(BNDES)も新しい経済省の傘下に置く。中央銀行だけは独立させるが、その政策は経済省の政策に沿うものでなければならないという。
また、国庫の赤字解消のために公社民営化を推し進め、ペトロブラスも民営化させる意向だ。
さらに、公的負債を20%削減し、就任初年度中に負債をなくすという。この件に関する具体的な方法は記されていないが、2020年には黒字に転ずるとしている。
また、労働手帳も、従来からの正規雇用の青色のもののほかに、雇用形態に合わせて、黄色と緑の新しい労働手帳を作るという。
注目される社会福祉に関しては、現行の生活扶助(ボウサ・ファミリア)の基底にある、最低所得を確保する政策を採用することを約束した。ただ、労働者党(PT)から、PT政権の看板政策をコピーしたといわれないため、米国の経済学者ミルトン・フリードマン氏が説く、米国における最低賃金の支払方式に基づいた富の分配政策を行うと説明している。
ボルソナロ氏はかねてから、女性、同性愛、黒人など社会的弱者への差別的発言を繰り返しているが、政策大綱では社会的弱者に関する政策には触れていない。
また、テキストの中では、PTや左派が、治安悪化も含む現在の諸問題を引き起こしたと批判。ラヴァ・ジャット作戦への言及はなかったが、汚職撲滅も約束している。
治安問題に関しては、処罰対象となる年齢を引き下げることや、銃所有などに関する定款の見直し、犯罪者の刑軽減や、母の日などの特別出所廃止などを提唱している。
パウロ・ゲデス氏はシカゴ大学で博士号を取得した経済学者で、ブラジル国内紙や経済雑誌のコラムニストとして知られている。7月に開かれた企業関係者のフォーラムでボルソナロ氏の講演が好意的に受け入れられたのも、同氏の影響があると見られている。