【既報関連】ブラジル地理統計院(IBGE)は16日に、今年の第2四半期(Q)の全国家庭サンプル調査(Pnad)の結果を発表した。それによると、職に就く望みも能力もありながら、就職を諦めた人(就職断念者)の数が483万3300人に達したと17日付現地各紙が報じている。
就職断念者は昨年の第2Qより、83万8千人も増えた。就職断念者が就業人口全体に占める割合は4・4%で、2012年の調査開始以来最大となった。また、2年以上求職しているが、就職にこぎつけられずにいる人も310万人いる。
IBGEの就業、報酬部門コーディネーターのシマール・アゼレード氏は、「多くの人が不況下で長期間職に就けず、精神的にも疲弊して求職活動を諦めている」と分析している。
就職断念者の増加は、統計上の求職者を減らすこととなり、見かけ上の失業率低下に繋がる。実際、今年第1Qから第2Qにかけての失業率は、13・1%から12・4%に下がった。
また、本来働きたい時間より少ない時間での就業に甘んじる人の増加も失業率の低下に繋がる。第2Qにそうした状況下に置かれたのは650万人で、昨年第2Qよりも67万9千人増えた。
アゼレード氏は、「労働市場の現実は、失業率12・4%が示すよりもずっと悪い」と語る。
正規雇用者数も記録的な少なさで、今後すぐに増加に転じる見込みも薄い。今年第2Qの民間企業の正規雇用者数は3283万4千人で、昨年同期より1・5%少ない。
サンパウロ州とリオ州の正規雇用者数はそれぞれ、994万4千人と278万7千人で、統計開始以来最低だ。アゼレード氏は、「この2州で起きることは他の州にも波及する」との心配も口にしている。
現在、失業者、就職断念者、希望よりも少ない時間しか働けない人の合計である、「労働疎外者」は就業人口の24・6%で、実数で2760万人いる。この比率は第1Qより0・1%少ないが、これまでの第2Qの数値としては最大だ。
また、本来なら一家の〃稼ぎ頭〃で、家計を支える役割を担う40~59歳の人の失業率も急速に高まっている。
現在、この年齢層の失業者は全失業者の22・7%を占めている。実数は295万人で、不況が始まる前の14年第2Qの2・3倍に増えた。
アゼレード氏は、「若年層より職能も職歴もあり再就職も若者より容易なはずのこの年齢層の失業が増えることは、ブラジルの雇用市場の悪化がより深刻化していることの表れ」と見ている。