ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》大統領選 検察庁が選挙高裁に圧力=ルーラの出馬無効の判断で=先延ばし狙うPTをけん制=担当はバローゾ判事のまま

《ブラジル》大統領選 検察庁が選挙高裁に圧力=ルーラの出馬無効の判断で=先延ばし狙うPTをけん制=担当はバローゾ判事のまま

ラケル・ドッジ検察庁長官(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

ラケル・ドッジ検察庁長官(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 服役中のルーラ元大統領(労働者党・PT)の大統領選出馬登録が15日に行われたのを受け、連邦検察庁が高等選挙裁判所(TSE)に対し、同氏の出馬登録に関する審理を早く行うよう圧力をかけている。17日付現地紙が報じている。

 

 ラケル・ドッジ検察庁長官がルーラ氏の登録と同時にTSEに登録無効の請求を行ったのは、PT側の戦略をけん制する意味がある。

 PTは高等裁判所(STJ)と最高裁(STF)に対し、「ルーラ氏の出馬無効を差し止め」のための暫定令を請求しようとしている。その目的は、時間稼ぎだ。STJとSTFのラヴァ・ジャット作戦の担当判事がこの件をすぐに却下せず、「全体審理にかける」ならば、審理終了まで、ルーラ氏の登録は有効となるためだ。

 PTの弁護団は、審理終了までの待ち時間が8月31日を越えることを望んでいる。そこまでずれこめば、その日からはじまる大統領選の政見放送で、ルーラ氏を候補とした放送を流すことが可能になるからだ。

 ドッジ長官はそれをさせないため、15日の登録を待ち構えて請求を出した。「ルーラ氏の出馬登録無効」を訴える請求はこれまでもあったが、「登録もされていない人の審理はできない」と却下されていた。だが、TSEへの登録申請後は審理の対象となる。

 TSEが出馬登録者名簿を公表してから5日間は出馬への異議を唱える期間で、その後、7日間は疑問を呈された側の反論期間となる。通常ならTSEの判断はその後だが、ドッジ長官はルーラ氏に関しては、異議を唱える期間を省き、16日からすぐ、反論期間とするよう要求した。

 TSEには、ドッジ長官のものも含め、「ルーラ氏出馬無効」の請求が6件、ボルソナロ氏の出馬無効請求が1件出ている。これらの請求審理時の報告官をくじ引きで割り振ったところ、ルーラ氏に関しては、ドッジ長官からのものを含む2件がTSE副長官でもあるルイス・ロベルト・バローゾ最高裁判事に、残る4件がアジミール・ゴンザーガ判事に割り振られた。

 PTはTSEに、扱いを統一するよう要請。同党としては、「裁判で2審有罪なら出馬無効」とするフィッシャ・リンパ法遵守に厳しいことで知られるバローゾ氏を担当から外して欲しいところだが、ローザ長官は16日、ルーラ氏に関する請求をバローゾ判事が担当する方針を変えない判断を下した。

 ゴンザーガ判事は17日、自分が担当するルーラ氏の出馬無効請求をTSE長官に差し戻す方針を明らかにしており、バローゾ判事がルーラ氏に関する請求の全てを扱う可能性が高い。バローゾ判事は22日までの異議申し立て期間とその後の反論期間を尊重する意向だが、TSEが出馬無効と判断した場合は、控訴の有無には関係なく、出馬資格を停止すると見られている。TSEの審理の結果は31日までに出ると予想されている。