債務不履行の有無などの情報を集め、金融機関に対し、融資や分割払いを希望する人の信用度を判断する資料を提供する機関、信用保護サービス(SPC)によると、7月の債務不履行者は6340万人に上った事がわかった。20日付現地紙が報じている。
6340万人はイタリアの総人口とほぼ同数だ。景気回復の遅れと、それに伴う就職難がこの現象を後押ししている。
SPC主席エコノミストのカワウチ・マルセラ氏は、17年3月から9月までは債務不履行者が減少していたので、今回の結果はなおさらショッキングだとしている。
全国財・サービス・観光商業連合(CNC)の調査では、債務不履行に陥る人が多いのは最も収入が少ない層だが、債務不履行現象は根強く、広い層に付きまとっている。
各所得層の中で債務不履行に陥っている人の割合を見ると、低所得世帯の中の債務不履行者は、昨年7月の29%から26・7%に落ちた。だが、世帯収入が法定最低賃金の10倍以上のいわゆる高所得世帯の中で債務不履行に陥っている人は、1年前の10・6%から10・8%へと若干増えている。
ブラジル人世帯は苦しい家計のやりくりのため、光熱費や水道代など、支払い遅れの利子が低いものの支払いを遅らせる傾向にあり、こうした項目の延滞率は1年で7・6%も上昇した。
また、特別小切手、個人融資、クレジットカード融資など、銀行関連債務総額も6・9%過去1年で増加した。
フリーランサーとして月収1万5千レアル(45万円相当)を得ていたある女性は、妊娠と共に職を失った上、子供の父親からも捨てられ、5カ月間働けず、出産手当さえもらえない状態に追い込まれた。「(高額収入者だったために)融資を受けるのは簡単だったから、無職だった期間中はそれらを駆使して何とか生活費を賄ったけど、共益費やインターネット、銀行からの融資に特別小切手と、様々な形の負債が残ってしまった」と嘆く。
CNC経済分析員のマリアンネ・ハンソン氏は、「高所得世帯は返済期限が長く、利率も低い融資が受けられるため、低所得世帯より融通が利くが、収入が多いと支出も多くなりがち。14年半ばから16年末まで続いた長期不況は、ブラジル人にとり『身の丈にあった消費プランを持つべき』との教訓になったと思われていたが、その効果は短期的で、根本的には何の変化ももたらしていない」と語っている。