極右大統領候補のジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)が23日、サンパウロ州で行われた集会で、その場にいた子供に、「銃の撃ち方を知っているか」と聞き、物議を醸している。銃解放論者の同氏はこのところ、これまでのトレードマークだった問題発言を過激化させている。24日付現地紙が報じている。
ボルソナロ氏はサンパウロ州アラサトゥーバで開かれた集会で、かねてからの持論である銃所持の自由化を改めて訴えた。その際、軍警の制服を着て会場に来た子供に、「君、銃の撃ち方知ってる? 撃つ真似をしてごらん」と語ったが、これが後に報道され、物議を醸している。
同氏は、7月20日に開かれたゴイアス州での集会でも、幼い少女の手をとり、銃の形を作ったとして、今月17日に行われたテレビでの大統領討論会で、マリーナ・シウヴァ氏(REDE)からそれを批判されていた。同様の行為はこれで4度目だ。
ボルソナロ氏は23日の集会で銃自由化についての発言を連発。「うちの子供なんて皆、5歳の時に実弾を撃っていた」「聖書でも認められている行為だ」「もう弱虫の世代は作らせない」と続いた。さらに「マリーナ氏だって、幼い頃、猟銃を持っていたから襲われなかったと語っている」とまで言い切った。
マリーナ氏はアクレ州の貧しい農村地帯に住んでいた10代前半、家族の負債返済のため、ゴムの樹液採取の仕事をしていた。現在、同氏は武器所持を否定している。
ボルソナロ氏はここ数日、持ち前の過激発言をさらに強めている。先週は、国連関連機関が服役中のルーラ氏の出馬を認めるようブラジルに勧告した件に関し、「私が大統領ならブラジルを国連から脱退させる」と言い切った(後に撤回)。また、「左翼勢力の土地の不法占拠には軍を導入する」「大学の黒人の割当を減らす」など、明らかにルーラ氏の労働者党(PT)などを意識した過激発言を続けている。
ボルソナロ氏は20%前後の高支持率を得ているが、21日に発表されたダッタフォーリャの調査では、ルーラ氏が支持率を上げる中、ボルソナロ氏の拒絶率は39%で全候補者中、最も高かった。加えて、決選投票に進んだとしても、ルーラ氏、マリーナ氏、シロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)、ジェラウド・アウキミン氏(民主社会党・PSDB)に敗れるという結果が出ている。
さらに、31日からはじまる政見放送でも、小政党のため、12分30秒ブロックでの放送時間がわずか8秒、30秒放送が5週間で11回とかなり不利になっている。
同氏は28日に、黒人や原住民、女性などへの差別発言で最高裁で被告になるか否かの裁判も抱えている。