今週末からテレビ・ラジオの政見放送を控えている大統領選だが、26、27日付エスタード(E)紙が各候補の弱点をそれぞれ指摘し、選挙戦の見どころを伝えている。
現在服役中のルーラ元大統領(労働者党・PT)を除いた場合の支持率は断トツ1位のジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)も、弱点は少なくない。
まず、最も指摘されるのが女性票の弱さだ。ブラジル世論調査・統計機関(イボッピ)の調査によると、同氏の支持者のうち、女性は3分の1しかないことがわかっている。ブラジルの大統領選における女性票は、過半数の53%を超える。
加えて、人種差別的発言で物議を醸した経緯から、黒人や貧困層からの支持も低い。福音派には強いが、カトリックからの支持は強くない。
また、インターネットではきわめて強い反面、ネットに疎い高齢者層からの支持は高くない。小政党所属の同氏は、政見放送開始以降はネットを中心にキャンペーンを展開する意向を示しているが、政見放送で対立候補からの批判を浴びることは既に予想されている。テレビでの反論がかなり困難な状況の中、高齢者層にそれがどう響くかがカギとなる。
一方、ボルソナロ氏を追うマリーナ・シウヴァ氏(REDE)の場合、女性票は過去の選挙でも強かったが、男性票は37%と弱い。前回選挙では43%という高い支持を得た福音派の有権者からの票が、他候補に流れる傾向にあるのも気がかりだ。
また、黒人や褐色の有色人種の低所得者層には強い反面、白人の富裕な層には弱い。さらに、ボルソナロ氏同様に高齢者層に弱い上、政見放送での時間が少ない。
シロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)は、「女性」「高学歴」「福音派」「白人」「若者」からの支持が伸び悩んでおり、一貫性が見えにくい。これらの傾向は、支持層がまだ固まっていないことをうかがわせる。
また、現時点での支持率は低いながらも、政見放送で全体の4割という圧倒的な時間を有するジェラウド・アウキミン氏(民主社会党・PSDB)は、ネットへの興味の薄い高齢者層に強く、性別や宗教などでの弱点もない。だが、従来のPSDBのイメージ通り、若年層や貧困層、黒人への受けが悪いのをどう克服するかが鍵になる。
ルーラ氏の代理候補が予想されているフェルナンド・ハダジ氏は、「女性」「低教育層」「福音派」「高齢者層」への受けが悪いと出ているが、それ以上に、市長をつとめたサンパウロ市やサンパウロ州以外の地域での全国的な知名度が足りない。どこの時点でルーラ氏と候補を乗り換えるかと、ルーラ氏の票をどれ位自分のものにできるかにかかっている。