28日朝、ベネズエラ人移民187人を乗せた空軍機がロライマ州ボア・ヴィスタ市を出発した。これは、30日分と合わせると278人に及ぶ、国内移送第6弾の第一陣だ。
28日付現地紙サイトによれば、移送計画第6弾は2回に分けて実施され、28日にアマゾナス州マナウス市65人、パライバ州ジョアン・ペッソア市69人、サンパウロ市53人の計187人、30日はパラナ州60人、リオ市25人、連邦直轄区4人の計89人、総計276人が移送される。
今回の移送は、18日に国境の町パカライマで起きたベネズエラ人やその収容施設襲撃事件後、初めての移送計画となる。
18日の騒動は、17日に発生したベネズエラ人と思しき強盗によるブラジル人商人宅襲撃事件がきっかけで起きた。だが、商人のケガの度合いが吹聴され、実際以上に話が膨らんでいた事が判り、検察が経緯などを調査中だ。
騒動の背景には、ベネズエラ人急増やそれに伴う犯罪増加、保健や教育などの諸部門でのロライマ州やボア・ヴィスタ市、パカライマ市などの負担増などによる社会的な緊張状態がある。
連邦政府は騒動後、11の省庁関係者を派遣、同州政府や市民団体代表らと協議の場を持った。協議直後には、緊張緩和のため、8~9月にベネズエラ人1千人を国内各地に移送する方針が発表されており、今回は第一陣だ。
4~7月には、サンパウロ市への287人を筆頭に、ベネズエラ人820人が国内各地に移送された。ベネズエラ人の国内移送は連邦政府が押し付けるものではなく、受け入れ側の自治体からの申し出を待って行われる。移民達は予防接種や健康診断を受け、納税者番号や労働手帳も整った状態で送り出される。
だが、各地に送り出された移民達が皆、定職に就けている訳ではない。自治体や住居を提供する団体などは、子供の就学や健康管理、ポルトガル語習得のための講座や職業訓練などの場は保障するが、実際には、就職先が決まらず、苦労している人も相当数いる。
18日の騒動後はラウル・ジュングマン治安相も現地に赴き、国境警備の実態などを視察。国軍兵や保健医療関係者が相次いで派遣された他、27日にはボア・ヴィスタに駐在する治安維持部隊の任務を180日間延長する事も決まった。