ブラジル中銀の調べによると、8月に国外へ流出した外国投資の総額は約98億ドルだったと、6日付現地紙が報じた。
「外国投資の国外流出」には、国際投資家によるブラジル通貨や株式、国債の売却、もともと国外資本が所有していたブラジル国内の土地や工場の売却、ブラジル国内の特定の企業やプロジェクトに国外資本が投資していた分の引き上げなどが含まれる。
これは、流出額が約105億ドルに達した今年3月以来の大幅流出だ。昨年8月も流出超だったが、金額は今年の半分だった。逆に今年の7月は約48億ドルが国外からブラジルに流入していた。
ゴールドマン・サックス証券ラテン・アメリカ担当の主席エコノミストのアルベルト・ラモス氏は、「資本流出の30%は、ブラジル国外の要因によるもので、70%はブラジル国内の要因、特に選挙が近付いていることが影響している」と語った。
ボトランチン銀行の主席エコノミスト、ロベルト・パドヴァーニ氏も「選挙リスクはブラジル金融市場の安定性を大きく揺るがしている」と語る。
パドヴァーニ氏は「アルゼンチンで起きている通貨危機のため、投資家たちは新興国投資に慎重になっている」と語る。今月下旬には米国が利上げする可能性が濃厚なことも資本流出の一要因、と指摘する識者もいる。
投資コンサル会社、テンデンシアス社のエコノミスト、カンポス・ネット氏は、「資金流出の流れは、少なくとも選挙が終わるまで続くだろう。その後の展開は選挙の結果次第。今の傾向が逆転する可能性もないわけではない」としている。