イラストレーター、画家、コロニア史研究家の田中慎二さんが7日午後4時、サンパウロ州立ガン医療センター(ICEUP)で多臓器不全のために亡くなった。享年83。今年初めにすい臓ガンが見つかり手術をしていたが、感染症を併発して急死した。初七日は16日(日)午前10時15分からパロキア・サンフランシスコ・デ・アシス(Rua Borges Lagoa, 1209 Vila Clmementino)で行なう予定。
田中さんは1935年1月に福岡県博多市で生まれ、多摩美術学校図案科入学するも2年で中退。兄に誘われて55年にボリビアのサンファンへ移住、文化人類学者で東京大学東洋文化研究所の泉靖一教授が自宅にたまたま泊まり、パウリスタ新聞を紹介され、60年に出聖入社した。
その後『農業と共同』誌で宮尾進編集長の下で10年ほど記者を務め、週刊『コチア新聞』でも各地の単協デポジット(流通倉庫)探訪記事を発表した。サンパウロ移民史料館開設時には、館内のイラスト類も担当。
『文協40年史』『同50年史』『援協40年史』『半田知雄―その生涯』に加え、長野県人会や兵庫県人会の記念誌などの多数の出版物の執筆編集に携わってきた。2016年には30年間の資料収集の集大成『ブラジル日系美術史』、翌17年には初めての自作文画集『アンデスの風』を刊行していた。
画家として個展は文協貴賓室1回、デコ画廊2回に加え、サンパウロ美術館(MASP)友の会スペース3回、英国協会、米国協会で開催するなど、一般社会向けにも広く開催し、幅広い活躍をしてきた。