2日に起きた火災で所蔵物の9割を焼失したとされるリオ市の国立博物館が、22、23の両日に、「国立博物館は生きている」と題するフェスティバルを行ったと22日付G1サイトなどが報じた。
2日夜起きた火災は、開設200年を祝ったばかりの同博物館の本館を直撃。1975年にミナス州の遺跡から発掘され、米州大陸でも最も古い、1万1500年前の人類の化石とされる頭蓋骨(通称ルジア)を含む、200万点を超える所蔵品は、9割を焼失。文化遺産の本館も、正面や側面の壁は残っているが、屋根や天井が落ち、火災後も立入禁止となっていた。
しかし、同館の運営を担当する理事や調査員らは、地域の人と密接な関係を築き、子供達の教育のためにも用いられてきた毎月恒例のフェスティバルをなおざりにする事を良しとせず、予定通り敢行。調査員らが運び出せた品や、別館にあって火災を免れた品、動物の剥製、他の博物館が貸し出してくれた資料などを本館前で展示。ワークショップや植物園散策なども行われた。
展示物の中でも注目を集めた品の一つは、3Dプリンターで作成したルジアの頭蓋骨の複製とそれに肉付けした頭部の複製だ。その脇には、「ルジアは焼失したという噂やルジア発見という噂が交錯しているが、現時点ではルジアは見つかっていない」との但し書きが添えられていた。
22、23日に開催されたフェスティバルの参加者は約7千人で、親子連れなども見られた。
子供と一緒にワークショップに参加した36歳の女性は、「火災は惨事と言うしかなく、ブラジルが経験している危機や、市民がなじんできた所蔵品喪失といった事実に直面するのは悲しい」としつつも、「フェスティバルはとても活発で、楽しかった。職員達が率先的にイベントに関わっている様子も伝わってきた」と語った。
なお、3Dプリンターによる所蔵品の複製作成は、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が18日に提唱した博物館再建策の一つだ。複製作成は、2月に更新された所蔵品のバックアップデータを基に進められる。
また、教育省は18日に、同博物館の再建資金として、850万レアルを払い出す事を明らかにした。この金額は同省が約束した1千万レアルの最初の払い出し分だ。
同博物館再建には国際的な支援の輪も広がっており、ドイツからは100万ユーロという具体的な支援金額が示された。同国は所蔵物の修復作業などのために人材も派遣すると約束している。