ベネズエラで8日、同国の諜報機関Sabinの本部で、大統領襲撃事件への関与が疑われていたリベルタドル市(同国首都地区で、同市のみを指してカラカス市という事もある)市議のフェルナンド・アウバン氏が、10階から落ちて死ぬ事件が起き、国連やブラジルなどが、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領に説明を求めていると8~10日付ブラジル国内紙・サイトが報じた。
アウバン氏は、8月4日に起きた、イベントに参加していたマドゥーロ大統領を無人機で襲撃しようとした事件に関与したとして、5日に逮捕され、Sabin本部で身柄を拘束されていた。同氏逮捕は、米国にいる妻や息子を訪問後、国連総会にも参加して帰って来るのを待って行われた。
8日は、逮捕後の口頭尋問が行われる予定で、係員が裁判所に連行する事になっていた。だが、当局側は、「用を足しに行くといって場を外した直後に飛び降り自殺を図った」という。
これに対し、同氏が所属する第一正義党は、同氏は殺害されたとして、当局を訴えている。
アウバン氏の死はブラジルのメディアでも報じられ、事態を重く見た連邦政府は、外務省を通じ、「アウバン氏の死は当局が身柄を拘束している中で起きた事であり、当局の扱いが正しかったのかなどを詳細に調べ、状況を明らかにして欲しい」と要請。反体制派として身柄を拘束されている人達の身の安全なども保証する事も求めた。
また、リマグループ参加諸国(アルゼンチン、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、パラグアイ、ペルー、サンタルシア)も、真相究明と、同様の事件を防ぐ対策をベネズエラ政府に求めた。
同件に関しては、国連人権委員会も国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)に調査を始める許可を出した。ベネズエラ当局が抵抗を示しているため、UNHCR職員の入国の可否は不明だが、UNHCRは、アウバン氏の死と共に、法規上は48時間以内と定められた口頭尋問が規定通り行われなかった事にも疑問を呈している。同件に関する調査結果は、同国における人権蹂躙や同国政府の職権乱用などに関する人権委員会の報告書の一部として盛り込まれる予定だ。
アウバン氏の死や当局の対応のあり方に対する不信感は欧米社会にも広がり、欧州連合(EU)や米国上院も、ベネズエラ政府に、同件に関する詳細な調査と報告を要請した。また、スペイン政府は、マドリッド駐在のベネズエラ大使を召喚し、説明を求めた。
アウバン氏の通夜は9日に、国会(制憲議会とは別)と、ベネズエラ中央大学のチャペルで執り行われた。
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