ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》商業用不動産の賃貸料が5年で4割超の下落=遅れる景気回復が原因

《ブラジル》商業用不動産の賃貸料が5年で4割超の下落=遅れる景気回復が原因

サンパウロ市セントロの家電製品店(Paulo Pinto/Fotos Publicas

サンパウロ市セントロの家電製品店(Paulo Pinto/Fotos Publicas

 ブラジルの商業用不動産市場が、販売、賃貸共に振るわない。商業用不動産価格変動指数、FipeZap指数によると、昨年10月から今年9月までの12カ月で、200平米以上の、国内4都市(サンパウロ市、リオデジャネイロ市、ベロ・オリゾンテ市、ポルト・アレグレ市)の商業用不動産の賃貸料、販売価格は、インフレ調整済で約7%下落したと、23日付現地紙が報じた。
 商業用不動産の下げ幅は、5年前の2013年9月を基準にするとさらに大きく、賃貸料は42・5%、販売価格は31・6%下落した。
 経済調査院(Fipe)所属のエコノミスト、ブルーノ・オリヴァ氏は、「経済の回復が遅い事が商業用不動産市場を停滞させている」と語る。
 商業用不動産の不調は2013年から始まっている。同年より、商業用不動産の賃貸価格の上昇幅は、常にインフレ率(IPCA)を下回っている。販売価格も、上昇幅は2014年からインフレ以下だ。価格上昇がインフレ率を下回れば、事実上の値下がりだ。
 14年から始まったブラジルの大型不況は、統計上では16年末で終わったが、景気回復のペースは弱い。オリヴァ氏は、「商業用不動産市場の回復は、景気回復の波の最後。企業は需要の回復を察知しても、先ずは従業員を雇うこと(雇用回復)で対応する。商業用不動産市場の活性化に繋がる、店舗の拡張、拡大などはその後。来年にかけて価格下落には歯止めがかかるかもしれないが、それ以降、価格上昇に繋がるかは楽観できない」と語っている。