スペインの首都マドリッドから60キロの小さな村、ピオスで2016年9月18日にブラジル人の一家4人の惨殺体が発見されてから2年余り経った24日、同件で逮捕されたフランソワ・パトリッキ・ノゲイラ・ゴウヴェイア容疑者の陪審裁判が始まった。
『ピオスの集団殺人』という名前で知られる事件では、パトリッキ容疑者のおじで、ブラジル北東部のパライバ州出身のマルコス・ノゲイラさん(39)とジャナイナ・ジニスさん夫妻で、パライバ生まれで4歳の娘と、スペイン生まれで1歳の息子も幼い命を奪われた。
パトリッキ容疑者の自供によると、一家4人を殺害したのは同年8月17日だ。スペイン検察は今年3月に同容疑者を起訴し、終身刑を要請した。弁護士は精神的な病を理由に減刑を求めているが、終身刑となった場合、25年毎に1度、刑期の見直しが行われる。
陪審裁判は、24、25、26、29、30、31の6日間をかけて行われる予定だ。
パトリッキ容疑者は事件後にブラジルに帰国していたが、国際手配されたため、16年10月に同国に戻り、空港で自首・逮捕の形となった。
兄弟のマルコス・ノゲイラさんや義理の姉、年端も行かない甥と姪を殺害されたワウフラン・カンポスさん。彼女は、マルコスさん同様に甥のパトリッキ容疑者をかわいがっていただけに、家族に起きた不幸で親族がどれほど苦しみ、心を痛めている事かと心中を吐露。今回の裁判では、事件後初めて、甥と対面する事になる。
ワウフランさんは、検死や現場検証に立会った上、マルコスさんが麻薬使用者だった事などを問いただす報道陣からの圧力を受けるなど、この事件で最も圧迫を受けた一人で、現在も交通機関で移動している時などに事件の事を思い出しては涙したりするという。
マルコスさん一家の遺体を焼いた灰は、2017年1月にパライバ州ジョアン・ペッソアの実家に届けられたが、ワウフランさんの母親は、2年余りが経った今も、孫のパトリッキ容疑者が息子夫婦を殺した上に遺体をバラバラにし、孫にあたる幼子2人も殺すという、予想もしなかった悲劇によるショックを乗り越えられずにいる。遺族は皆、今もこの事件の重荷を負い続けているというべきだろう。
なお、事件当日に携帯電話の通信ソフトで同容疑者と連絡を取り、具体的な指示も与えた同容疑者の友人で、ジョアン・ペッソアで逮捕されたマルヴィン・コレイア容疑者は、逮捕期間の延長が打ち切られ、自由の身で裁判を待っている。
また、パライバ州地裁でのパトリッキ容疑者とコレイア容疑者に対する裁判は、実質的に止まっており、遺族の悲しみをいや増している。(22日付G1サイトより)
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