大統領選の選挙キャンペーンで「ブラジルをベネズエラに変えてしまう」と、対抗のフェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)に対する警鐘を鳴らしているジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)の方法論が、ハダジ氏以上に、ベネズエラの独裁者と呼ばれた、軍隊出身のウゴ・チャヴェス元大統領(2013年没)のそれを踏襲していると、25日付フォーリャ紙が報じている。
ベネズエラは現在、チャヴェス氏を継承したニコラス・マドゥーロ大統領の独裁政権の下にあり、2016年以降、200万人以上の国民が難民となっている。
PTは同国やニカラグアでの独裁政権を支持する立場を取り下げておらず、さらに、ハダジ氏の当初の公約に「新憲法を作る」ことが記されていた。ボルソナロ氏はそこを突き、ハダジ氏をベネズエラと関連付けた形の批判を繰り返している。
だが、主義の違いこそあれ、ボルソナロ氏のやり方そのものがチャヴェス氏に類似しているとフォーリャ紙は指摘する。
同紙があげる最初の共通点は「軍人の登用」だ。軍出身のボルソナロ氏は、組閣予想人事で、現時点までに少なくとも3人、軍人を起用することをほのめかしている。ベネズエラも、現時点で閣僚33人中9人が軍人で、石油公社のPDVSAなども軍出身者が経営している。
次に共通点としてあげられているのは「憲法の改正」だ。これは副候補のアミウトン・モウロン氏が9月に講演会で提案したものだ。同氏はそこで「制憲議会設置」を説くと共に、「同議会の議員は選挙で選ばれる必要はない」と語って物議を醸し、ボルソナロ氏が火消し役に回った。
チャヴェス氏は大統領就任1年目の1999年に憲法改正を行った。また、マドゥーロ政権も、2017年に制憲議会を設立し、連邦議会を骨抜きにして独裁制を強めている。
三つ目は、「最高裁」だ。先週末には、ボルソナロ氏の三男で下院議員のエドゥアルド氏が「最高裁の軍による閉鎖は簡単だ」と発言したビデオが流出し、問題となった。チャヴェス氏は2004年に最高裁判事を20人から32人に増やして自身の選んだ最高裁判事が過半数を超えるよう仕向け、独裁性を強めた。
また、ボルソナロ氏は21日に、告発さえされていないハダジ氏やPT関係者の逮捕をほのめかし、「左翼の活動を終わらせる」と発言した。PT側は、主張の異なる政治団体の主義主張には反対していない。
チャヴェス氏も愛国心を煽り、政敵を徹底攻撃することで支持を集めてきた。
ボルソナロ氏は1999年に出演したテレビ番組の中で、チャヴェス氏を「南米の希望だ」と称えてもいる。