大統領選の決戦投票直前の23日から25日にかけ、全国各地の公立大学で、裁判所の命令を受けた警官が来て公開授業を停止させたり、ファシズム反対と書かれた掲示物を取り除かせたりする事件が続き、学長や学生が抗議行動を行った。
一連の事件は、少なくとも、リオデジャネイロ、パライバ、ミナス・ジェライス、リオ・グランデ・ド・ノルテ、リオ・グランデ・ド・スル、セアラー、マット・グロッソ・ド・スルの7州、13の連邦大学で起きた。また、複数の州の州立大学などでも同様の事件が報告されている。
代表的な例は、25日にリオ州の地域選挙裁判所が出した、同州のフルミネンセ連邦大学(UFF)法学部に掲げられていたファシズム反対を訴える旗の撤去命令だ。
この命令は、この旗が社会自由党(PSL)のジャイール・ボルソナロ候補(28日に当選)に対する否定的な選挙宣伝に当たるとしたマリア・アパレシーダ・ダ・コスタ判事によるものだ。
同判事によると、同州地域選挙裁監査官が23日に行った監査で、UFF法学部アカデミックセンターには、ボルソナロ氏とファシズムを結びつけ、同氏への憎しみを呼び起こすような横断幕やシールがあったという。
同判事は、ボルソナロ氏に対する否定的な選挙宣伝は、選挙時の政治活動に当たると判断し、撤去しなければ選挙法違反に問うとしたため、UFF法学部長は25日夜、旗の撤去を決めた。
だが、これを受け、リオ州連邦大学法学部関係者が26日にリオ州地域選挙裁判所前での抗議行動をと呼びかけたため、外した旗を持ったUFF生も含む学生らが、選挙裁判所前に駆けつけた。UFF法学部学生は24日にも、前日の監査に対する抗議行動を行った。
また、パラー州州立大学では、学生の通報で駆けつけた警官が、フェイクニュースについて講義中の教授を逮捕すると脅す場面もあった。
一連の出来事を知った高等選挙裁判所は、決戦投票前最後の審理を行った26日、地域選挙裁で行き過ぎた行為がなかったかを捜査する事を決めた。高等選挙裁監査官のジョージ・ムッシ判事も同日、各地の地域選挙裁監査官に大学への介入命令の法的根拠に関する報告書の提出を求めた。
また、選挙検察の長でもあるラケル・ドッジ連邦検察庁長官も同日、最高裁判所に地域選挙裁の介入を禁ずる暫定令を出すように要請を提出。最高裁判事らも一様に懸念を表明した。
高等選挙裁や最高裁の判事らは、大学は様々な思想がある事を学び、論じる場であり、選挙時に公開授業や平和的な方法で行うマニフェストが起きるのは当然とした上、教授や学生、職員が自分達の意見を持ち、それを表現する自由やそれらを論議する自由は保障されるべきだとしている。
大学への介入は27日にカルメン・ルシア最高裁判事が禁じており、欧州物の返却も命令。同件は31日の最高裁大法廷でも審理される。
専門家は、特定候補への投票を要請する選挙宣伝と、各候補の政策や思想について討論する事を混同してはならないとしている。(26日付アジェンシア・ブラジル、G1サイト、27、28日付エスタード紙、フォーリャ紙などより)