ジャイール・ボルソナロ氏は29日、TVインタビューで、現テメル政権の任期中に社会保障制度改革を一部でも進めることを望んでいるとの意向を示した。30日付現地各紙が報じている。
「来週にはテメル大統領(民主運動・MDB)と会い、棚上げになっている社会保障制度改革案の一部だけでも成立させられないか。その道を探ろうと思う。そうすることで来年からの新政権の問題を軽減できる」とボルソナロ氏は語った。
ボルソナロ氏の発言は、新政権の官房長官就任が濃厚とされているオニキス・ロレンゾ氏が同日朝に発した、「現政権の案はとらない」の言葉と矛盾している。オニキス氏は、「社会保障政度改革は、現政権案よりも長期的な計画で進めるべき」としていた。
ボルソナロ氏の発言の後、同氏と共に次期副大統領に当選したアミウトン・モウロン氏も新聞のインタビューに、「私の意見としては、現政権の案にも一部、来年からの新政権の助けとなり、我々がより大きな成果を上げるために役立つ部分があるとは思うが、最終的には大統領の判断」と語った。
既にテメル大統領側からも、「現政権案を一部使ってはどうか」との申し出が出されており、パジーリャ官房長官も、「年内に法案の一部を下院だけでも通過させるために努力する用意がある事を伝えた」と語った。
現政権の案には含まれていないが、新財相就任が確実視されているパウロ・ゲデス氏の案には、「年金受取額は、個々の労働者の積立金額に応じて変動する」という内容も含まれている。
なお、ボルソナロ氏は「よりリベラルな経済政策をとるだろう」との期待感から、市場関係者の支持を得ていた。優勢が伝えられていた決選投票直前にかけては、株価も上昇、レアルも対ドルで値をもどしていた。
社会保障制度改革は早期実行が望まれている課題の筆頭だ。「それが行われれば対外的な信頼も投資も戻り、景気回復。雇用も内需も戻り…」と期待されているが、経済関係者からは「早く方針を明確にさせて」「手をこまねいている暇なぞない」「現政権の改革案も活かすべき」「ブラジルはこれ以上、大きな政府に耐え切れない」といった声が次々にあがっている。
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