ジャイール・ボルソナロ次期大統領(社会自由党)のグループは10月30日、次期法相として、パラナ州連邦地裁でラヴァ・ジャット作戦を管轄する、セルジオ・モロ判事を迎えたい意向を示した。これに対してモロ判事も、「引き受けることはありえる」と答えている。10月31日付現地紙が報じている。
ボルソナロ氏は当選翌日の10月29日に、グローボ局のニュース「ジョルナル・ナシオナル」のインタビューで、既にモロ氏のことを「汚職と戦う英雄の象徴だ」と語り、法相に迎えたいと語っている。
これに対してモロ氏も、「次期大統領にありがたい御言葉を頂いて光栄だ。状況が十分揃ったと判断できれば、考慮と話し合いの対象になる」との公式コメントを発した。
モロ氏はこれ以前にもエスタード紙の取材に対して、「もし要請があれば引き受けるかもしれない」と答えていた。
モロ判事自身のボルソナロ氏への直接的な言及は行われていないが、同氏の妻で弁護士のロザンジェラ氏は、10月の選挙期間中、インスタグラムを通じて、ボルソナロ氏への応援行為を行っている。
ロザンジェラ氏は10月、「汚職を撲滅する候補者に投票しよう。白票はだめだ」と閲覧登録者に呼びかけた。さらに、ボルソナロ氏の発言を拾って賛同を示し、モロ氏が第2次世界大戦の兵士と写った写真を「二人の英雄」と称して掲載。ボルソナロ氏の当選が決まった28日夜には、コルコバードのキリスト像のイメージを載せて「うれしい」とコメントするなどの応援行為を繰り返している。
一方のモロ氏は、2014年にはじまったラヴァ・ジャット作戦の担当判事として、ブラジル史上に例を見ない数の政治家らを裁き、ブラジルのみならず国際的にも注目され、「汚職撲滅の英雄」との賞賛を受けている。
ただ、その一方で、ルーラ元大統領(労働者党・PT)に対して行った二つの行為で、国内の評価を2分させている。ひとつは16年3月、逮捕逃れが目的と疑われる、ルーラ氏の官房長官就任の裏側を暴露すべく、ジウマ(当時)大統領との盗聴会話の公表を認めたこと。これは世論の支持は得たが、「行為そのものは違法で国を混乱させた」と最高裁から注意を受けている。
もうひとつは、第1次投票直前の10月1日、ルーラ政権の元財相だったアントニオ・パロッシ氏による報奨付証言の内、ルーラ氏に関する部分を公表し、PT候補のフェルナンド・ハダジ氏に打撃を与えたことだ。白熱した選挙期間中にあえて衝撃証言を公開したことを、「司法による選挙介入といえるタイミングだ」と批判する政治評論家もおり、全国法務審議会(CNJ)から事情説明を求められている。