パラナ州連邦地裁のセルジオ・モロ判事は1日、ジャイール・ボルソナロ次期大統領からの、法相、治安相の役目をかねた新たな大臣職への就任依頼を承諾、パウロ・ゲデス次期経済相に続くスーパー大臣誕生が決定的になった。他方、ラヴァ・ジャット作戦の裁きで国民的人気を得た同氏の起用をめぐって、国民の評価は二分している。2日付現地紙が報じている。
ボルソナロ陣営からのモロ氏への就任依頼は10月31日に行われ、その時のモロ氏は、「状況が整い次第、考慮する」と答えた。だが、両氏は翌1日にリオで会い、その席で就任が決まった。
ただ、ヴェージャ誌などの情報によると、モロ氏は要請前にゲデス次期経済相と会談しており、法務省の新たな編成に求めるものなどについての質問も受けていたという。また、モロ氏の夫人ロザンジェラ氏はそれ以前から、ネットを通じてボルソナロ氏を熱心に応援していたことも知られている。
モロ氏が就任する法務相は、「スーパー大臣」の一つとなる。つまり、ボルソナロ氏が進める省庁の統廃合により、これまでの複数の役職を統括し、より強い権限を持った大臣のことだ。モロ氏は法相のみならず、治安相、金融活動管理審議会(COAF)議長も兼ねる。治安省は連邦警察を傘下に置き、COAFは資金洗浄などの犯罪を調査、監査する組織だ。
2014年にラヴァ・ジャット作戦がはじまって以来、政治家や企業家に厳しい処罰を与えて国民的支持を得てきたモロ氏がこうした職務につくことに対し、一部では、汚職撲滅のみならず、民主主義の遂行が疑問視されているボルソナロ政権に「憲法を遵守する」イメージを付与する意味でプラスになると、前向きに評価する声もある。
だが、モロ氏が政界入りすることで、「これまでに築かれたラヴァ・ジャット作戦の信用性が損なわれる」という声も大きい。
それはとりわけ、労働者党(PT)に対するモロ氏の態度に関してだ。それはモロ氏が、大統領選の世論調査で支持率1位だったルーラ元大統領に有罪判決を与えたこと。さらに同選の一次投票の6日前に、ルーラ政権の主要閣僚だったアントニオ・パロッシ被告が行ったルーラ氏に対する暴露証言の公表を了承したことで、ルーラ氏の代理候補のフェルナンド・ハダジ氏に打撃を与えているからだ。
また、モロ氏はこの数年、将来の政界入りに関して「特定の政治勢力の肩を持つと、これまでの裁判実績が疑われる」として否定し続けていたため、その矛盾をつくメディアも目立っている。
また、モロ氏が大臣就任受諾に伴ってラヴァ・ジャット作戦を離れることで、同作戦の弱体化も懸念されている。5日は、これまでもモロ氏不在時に裁判を代行していたガブリエラ・ハルチ判事が、サンパウロ州アチバイアの農園を巡る公判で、証人2人の喚問を行った。