ブラジルのボルソナロ次期大統領は5日、「地理統計院(IBGE)の出している失業率は茶番だ。算出方法の変更を望む」とTVインタビューで語ったと、6日付現地紙が報じた。
ボルソナロ氏は、「IBGEは、失業者ではなく、就業者の数に焦点をあてたデータを公表すべき」とした上で、「ボルサ・ファミリア(生活扶助)や、失業保険の受給者、1年以上就職活動をしていない人々は『就業者扱い』にすべき。そうした上で、失業率ではなく、就業率を出すべきだ。そうやってブラジルの実態を示す事は難しいことではないはずだ」との珍説を披露した。
IBGEは今年7~9月の失業率は11・9%で、失業者は1250万人と発表している。
失業率は、ブラジル全土3500自治体の21万世帯を対象にした調査によって算出される。失業率算出方法が現在のものになったのは、2012年1月からだ。それまでに発表されていた月間雇用調査(PME)は、現在の方法よりも調査対象が狭い上、国連の国際労働機関(ILO)が推奨する雇用統計基準も満たしていなかった。
当然、現在は、ボルサ・ファミリアや失業保険の受給者、1年以上就職活動をしていない人々は就業者としてはカウントされていない。
1994年~98年にIBGEの院長を務めたシモン・シュワルツマン氏は、「ボルソナロ氏は明らかに、雇用統計、失業率の概念を誤解している」とコメントしている。他方、IBGEは、「政府からは失業率算出方法の変更などの要請や指示は一切出ていない」と発表するに止まった。
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