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レジストロ灯篭流し=川面の2千基に平和の願い託す=実弟「次期大統領は日本賞賛」=山田大使初参加、お茶工場訪問

当日の式典の様子(中央がレナト氏、右から二人目が山田大使)

当日の式典の様子(中央がレナト氏、右から二人目が山田大使)

 ブラジルの御盆〃死者の日〃にあせて、恒例の「第64回レジストロ灯篭流し」が1~3日、リベイラ河畔のベイラ・リオ広場で催された。ブラジル日本移民110周年を記念した今年は、大使としては初出席となった山田彰駐伯全権大使に加えて、次期大統領ジャイール・ボウソナーロ氏の実弟でミラカトゥ市在住のレナト氏が出席するなど、注目を集めた。

 ジョルナル・ニッパク紙の取材では、近隣のミラカトゥ在住のレナト氏は灯篭流しの常連。次期大統領に関して「ジュンジアイー生まれだが17歳までエルドラードに住んでいた。兄はリベイラ河沿岸地域に深い愛着を持っている」という。
 現在でも、エルドラードに母と姉妹のうち一人が住んでおり、レジストロにも姉妹の一人が住んでいる。灯篭流しに来る前、ジャイール氏本人に電話をしてきたという。
 レナト氏は「(ジャイール氏)は米国やイスラエルと同様に、日本を深く賞賛している。イデオロギーではなく経済と進歩の観点から、これらの国との緊密化を望んでいる」と話した。
 例年より一日長く開催された灯篭流し。最終日3日(土)の終盤には暴風雨に見舞われ、屋台の半分近くが営業停止となるなどトラブルが発生したが、最後まで継続され無事に終了した。
 2日夕刻、慰霊碑の前で執り行われた多宗教合同による「世界平和祈願と先没者慰霊法要」の後、リベイラ河に2千基の灯篭が流されると幻想的な景色が浮かび上がった。今年は110周年を祝して特別に大きな灯篭110基も準備され、衆目を集めていた。
 その後、開催された開会式には、レジストロ日伯文化協会の川尻イリネウ会長、レジストロ文化体育協会の佐久川マリオ会長、聖南西文化体育連合の山村敏明会長、山田駐伯大使、ジウソン・ファンチン市長、ホミウド・カンペーリョサンパウロ州文化局長らが出席。特にレナト氏が登壇すると、脚光が集まった。
 山田大使は式典前に、「天谷茶」の天谷良吾さんのお茶工場や、「おばあ茶ん」の島田梅エリザベッチさんの茶園を訪れ、「1913年にイグアッペの桂植民地として始まって以来、今日に知られる強固な日系社会を築いてこられた」として賛辞を送った。
 死者の日に寄せて、川尻会長は「原生林を切り開き、皆から愛されてやまない文化、教育、食という遺産を残してくださった」と先人に深甚なる謝意を述べ、山村会長も「両手を広げて先駆者を受入れ、ここに第二の祖国を建設することを可能にしてくれたブラジル民に感謝したい」と語った。
 サミュエル・モレイラ連邦議員は「ブラジルは昨年6万3千件の殺人件数を記録しており、これは同市人口に匹敵する」と話し、「灯篭流しが示すのは、平和と調和のなかで暮らすことが出来るということであり、それこそが我等が望むものだ」と重要性を強調した。
 なお、灯篭流しはレジストロ日伯文化協会、レジストロ文化体育協会、日蓮宗恵明寺、レジストロ市の共催。