ジャイール・ボルソナロ次期大統領(社会自由党・PSL)は12日、年内に社会保障制度改革に手をつけることは難しいだろうとの見解を示し、次期官房長官のオニキス・ロレンゾーニ下議(民主党・DEM)も、「社会保障改革は来年になるだろう」と口を揃えたと、13日付現地各紙が報じた。
社会保障制度改革は憲法改正を必要とする内容も含むため、議会承認のハードルが高い。現テメル政権も成立を目指したが、議会をまとめきれず、今年2月にリオ州に直接統治令を出さざるを得なくなった時点で正式に断念していた。「直接統治令の発令中は憲法を改正出来ない」という憲法規定があるからだ。
ボルソナロ次期大統領やパウロ・ゲデス次期経済相は、「憲法改正の必要がない部分だけでも、法改正の形で現政権中に実現させたい」との意向を示し、テメル大統領(民主運動・MDB)も協力の意思を見せていたが、議会内の情勢がそれを許さなかった。
「社会保障制度改革は実にやっかい。数字だけをみてその帳尻を合わせるような改革にはしたくない。今も給与上限以上に年金を貰っている人もいるし、既得権を手放したくない勢力もいる。通常の国民が受けるINSSより先に、公務員年金から手をつけなくては」と、リオ市の自宅でゲデス氏と会談した後にボルソナロ氏は語った。
ブラジリアで政権移行チームとして働いているオニキス下議は、パウデルネイ・アヴェリーノ下議(DEM)と会談した。そこでの結論も、憲法改正をしなくても行える社会保障制度改革の議会通過は難しいというものだった。
議会承認が難しい理由の一つに、現職の下議は47・3%、243人が、上議は56・7%、46人が議会を去る事があげられる。2年後の全国市長、市議会議員選挙を狙うため、国民受けの悪い社会保障制度改革に賛成したという実績を作りたくないという心理が、任期終了で去る議員たちの間に働いている。
オニキス下議は、マルセロ・カエターノ財務省社会保障局長とも会談した。カエターノ局長は会談後、「話した内容は、政権移行のための方法論的なこと。社会保障全般に関して、長期的視野での歳出や歳入の見込みなどを説明しただけ」と記者団に語った。
国内の多くの州が深刻な財政危機にある事に関して問われたオニキス下議は、「新政権の最優先はまず、国家財政を健全化させる事。その後にこそ、経済の活性化や投資促進に繋がる施策が打てる。それぞれの州も、政権1年目から、国家経済の回復に伴う税収回復などの恩恵を受ける事が出来るはずだ」と語った。