中南米最大の「サンパウロ国際モーター・ショー2018」が、今月8日からサンパウロ・エキスポ(km 1,5, Rod. dos Imigrantes – Vila Agua Funda)で開催されている。隔年開催で、今回は30回目。日本勢としてはトヨタ、ホンダ、日産、スズキ、三菱の5社が出展し、既に販売されている車種ほか、当地初公開となるコンセプトカーや、未発売の新車なども公開している。
欧米勢や中韓メーカーが多数出展するなか、「最優秀出展賞」に選ばれたホンダ自動車。同社ブースでは、19年1月から発売される新型「アコード」を公開した。自動運転支援システム「センシング」を搭載する車種としては伯初上陸だ。
また、AI(人工知能)を搭載し、自動運転機能を備えた電気自動車のコンセプトカー「NeuV」も公開。これは、運転手の状況を判断して安全運転をサポートするほか、嗜好に併せた選択肢を提案。さらに、所有者が使用しない間に自動運転でシェアをするなど、モビリティーの可能性を模索するモデルだ。
一方、トヨタ自動車も、コンセプトカー「愛i-RIDE」を初公開。こちらもAIを搭載し、人の気持ちを理解し共に成長するパートナーと位置づけ、近未来の自動車像が具現化されている。
また、同社は高級車ブランド「レクサス」を独立したブースで紹介。同社によると「高級車市場は年間3~4万台だが、レクサスの占有率は1%弱で、当地での認知度は高くない」という。今回はレクサスを積極的にアピールし、今後導入予定のコンパクトSUV「UX」とセダン「ES」も公開された。
そのほか、各社ブースでは電気自動車にも注目が集まった。日産自動車は、電気自動車「リーフ」を公開。これは電気自動車としては販売台数世界一位。これまで先進国を中心に展開されてきたが、ブラジルを含めた中南米8カ国でいよいよ来年から販売開始する。
なお、8日の開会式では、同日に連邦上院で自動車産業振興策「Rota2030」を施行する法案が可決されたことを受け、ミシェル・テメル大統領が政令に署名。これにより電気自動車やハイブリッド車などの環境配慮車や研究開発の税制優遇措置が取られる。
トヨタ自動車は、25年迄に全車種にハイブリッド技術搭載を目標とするほか、当地向け特別仕様となるFLEX対応型のHV車の量産を計画しており、この新たな振興策に基づく工業製品税率低減が期待される。
昨年、5年振りに生産台数が前年比を上回り、自動車市場が回復基調にあるなか、中長期的な戦略に基づく各社の投資促進をより一層促す形となりそうだ。
モーター・ショーは、18日(日)まで。17日は午後1時~10時、18日は午前11時~7時まで。入場券は99レ、半額券49・5レ。
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経済不況で欧州勢が軒並みシェアを落とす一方で、じりじりとシェアを伸ばしてきた日本勢。今年に入ってからは、ホンダ自動車が生産体制再編を発表。来年初から現在のスマレ工場からイラビーナ新工場に四輪生産を順次移管し、21年までに完了予定。また、トヨタ自動車は今月5日からソロカバ、ポルトフェリス工場を2から3交代制に移行したうえ、インダイアツーバ工場に10億レを投じて設備近代化を進めるなど、生産体制強化に向けて着々と準備が進められている。今回のROTA30を見越して生産体制を強化してきた日本勢が、ハイブリッドや電気自動車関連技術でブラジル市場をどう牽引してゆくのか、これからに期待したいところ。