17日、ロンドンで行われたサッカーの親善試合の対ウルグアイ戦で、今回が初召集となるミッドフィールダー、アラン(27、ナポリ)がチームを勝利に導く好プレーで一躍脚光を浴びた。
アランはこの日、後半13分に2列目のレナト・アウグストに代わって出場し、すばやい動きでチームにスピードをもたらした。攻撃では、ペナルティ・エリアの近くまで積極的にボールを受け取りに行き、相手守備陣の動きをつき崩して、攻撃のテンポを上げた。また、守っては、強力なマークで相手の攻撃を思い通りにさせなかった。
試合そのものはネイマールのPKで勝ったが、アランがもたらした攻守のリズムを勝因に挙げる批評家も少なくなかった。
アランの登場は、セレソンには嬉しい収穫だった。中盤の2列目は、すでに30歳を超えているレナト・アウグストやパウリーニョのことを考えると、彼らに代わる新しいレギュラーのほしいポジションだった。
もっとも「アランを招集しろ」との声は2016年くらいからあった。彼が名門ナポリでボランチのレギュラーを獲得したのはその頃だ。以来、同チームで常時出場もしており、実績的には申し分もなかった。だが、ブラジルにいた頃(ヴァスコ・ダ・ガマに2012年まで)の印象が薄く、ヴァスコの次に移籍したイタリアのウディネーゼもセリエAで目立つチームではなかったこともあってか、「地味ながら実力ではいあがった」タイプのアランには、なかなか召集の声がかからなかった。
だが、この日にアランが見せたプレーは、「セレソンに長らく欠けていたもの」と指摘する声が多かった。ブラジルの場合、「中盤の底」を守る、俗に「アンカー」とも呼ばれるポジションを守る守備重視の第1ボランチと、より攻撃に近い位置で守る第2ボランチが分けられている傾向が強い。そのボランチに加えて「攻撃型ミッドフィールダー」があり、これらの機能がしっかり分かれているイメージだ。
だが、欧州の現状を見ると、ミッドフィールダーの中では「守備型」「攻撃型」の区分はだいぶ薄くなり、「万能型」の選手が多くなってきている。そのことはとりわけ、今年のW杯でクロアチア準優勝の立役者となり、FIFA最優秀選手にも輝いたモドリッチ(レアル・マドリッド)を引き合いに出して語られることが多い。
アランはまさに、その「欧州型ミッドフィールダー」の進行形の見本を示したこととなった。ナポリはイタリアで首位争いをするチームのひとつだ。そこでも彼は、攻守を兼務する運動量の多い役目を果たしているが、それをそのままセレソンでも示した。
セレソンでは現在、グレミオからバルセロナに移籍し、「シャビ2世」との呼び名もあるアルトゥールが、2列目のポジションのひとつに定着しつつあるが、彼も「ブラジルでは珍しい」とされる万能型ミッドフィールダーと称されている選手だ。実際、この試合後に「アランとアルトゥールで新しいセレソンを」と求める意見もネットでは目だっていた。
そんなアランは試合後、「子供の頃からの夢がかなった」と嬉しそうに語った。チッチ監督も「嬉しい驚きだ」とアランのプレー振りを絶賛していた。(17日付グローボエスポルテより)
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