サンパウロ州グアルジャーの高級3層住宅に絡む嫌疑で2審有罪判決を受けて服役中のルーラ元大統領が、新たな嫌疑で刑事被告人となったと24日付現地各紙が報じている。元大統領を巡っては、アチバイアの別荘や、ルーラ研究所用地関連疑惑も1審判決間近、さらに多くの汚職嫌疑で裁判が進行中だ。
ルーラ元大統領は、ジウマ前大統領、ギド・マンテガ、アントニオ・パロッシ両元財相、労働者党(PT)元中央会計のジョアン・ヴァカリ・ネット氏らと共に、犯罪組織形成容疑で刑事裁判の被告人となった。
23日にブラジリア地裁第10法廷のヴァリスニー・デ・ソウザ・オリヴェイラ判事が受理したのは、連邦検察庁が昨年9月に提出し、今年3月に最高裁から回ってきた起訴状だ。提出時、連邦検察庁のロドリゴ・ジャノー長官(当時)は、「被疑者たちは、2003~2016年のPT政権期に巨大な犯罪スキームを形成し、少なくとも総額14億8千万レアルを不正に懐に入れた」と訴えていた。
5人の被告人は、起訴受理から15日以内に裁判開始に当たっての事前弁明書と、証言者リストの作成、提出をする事が出来る。
PTを中心とした犯罪スキームは、〃クアドリリョン・ド・PT〃(人の群れを意味するクアドリーリャの強調形、PTやMDBのように政党名を関したクアドリリョンは、党単位の大型汚職のスキームを指す)と呼称されている。
連邦検察庁は、「被疑者たちは、政権を握っていた2002年から16年まで、与党PT幹部の立場や、政権幹部の立場を利用し、収賄も含む数多くの行政上の不正行為や資金洗浄を行った」としている。犯罪に関わったと挙げられている組織や機関には、ペトロブラス、社会経済開発銀行(BNDES)、企画省、鉱山動力省の他、民間企業のオデブレヒト、アンドラーデ・グチエリス、OAS、UTC、J&Fなどがある。
デ・ソウザ・オリヴェイラ判事は、検察側の提出した証拠書類は、裁判を行い、犯罪性の有無、量刑などを審理するに値すると判断した。ブラジリアの連邦地裁が被告としたのは5人のみだが、最高裁のエジソン・ファキン判事は3月に、PTによる犯罪組織を形成したとされた8人の内、現PT党首のグレイシー・ホフマン上議と同氏の夫で元閣僚(通信相、企画相)のパウロ・ベルナルド・シルヴァ氏は最高裁で、元大統領府社会通信局長で、ジウマ氏の大統領選会計担当だった現アララクアラ市長のエジーニョ・シルヴァ氏は連邦第3地域裁で扱う事を決めた。
PTは23日、「ルーラ元大統領やジウマ前大統領への犯罪組織形成疑惑は、いかなる事実にも証拠にも基づいておらず、ロドリゴ・ジャノー前検察庁長官による、全く法的根拠のない言いがかりに過ぎない」との書面を発表した。