27日朝、ポ語の新聞に出ていないニュースや新聞発刊後の動きを確認するためにサイトを見ていたら、サンパウロ州立カンピーナス大学入試委員会が、アマゾナス州サンガブリエル・ダ・カショエイラ市に試験官を派遣し、初めての先住民枠用の入試を行うとの記事が目に飛び込んだ▼先住民枠用の入試は全5市で行われ、27のコースで72人の先住民を受け入れるという。同大の先住民新入生は05年の17人が最高で、07年は4人のみ。今年も7人で、3327人いる新入生の0・25%に過ぎない。10年の国勢調査での先住民人口は総人口の0・43%だから、同大の先住民新入生の数は人口比率をかなり下回る▼しかし、先住民学生が増えれば世界観や文化などの諸面で多様性が増す事を、同大は人口比率以上に重視。生態系その他の持続性保持や、薬草などを使う医術など、先住民から学ぶべき事も多いとしている。サンガブリエル・ダ・カショエイラは先住民比率がブラジル一高く、人口の76%が先住民だ。全5市での先住民受験者は610人で、内350人が同市で受験する。大学側は、先住民学生から学びたいとの理由で、試験官らに飛行機と船で3500キロの旅をさせ、先住民枠用の入試を行う。この姿勢は、人種や文化など、世界でも類を見ないほどの多様性に満ちた国なればこそだろう▼21日には、トカンチンス州の農場にある先住民の建築技術を活かした木造の学校が、世界の建築業界の注目を集め、国際的な賞を受賞したばかりだが、言葉や文化、思想、技術などの違いは多様性や豊かさを生む。カンピーナス大学の試みが、受容と発展のモデルの一つともなる事を望みたい。(み)