米国法務省が、テメル大統領(民主運動・MDB)が関与したとの疑惑が持たれている港湾条例疑惑に関する書類を入手した。カナダの企業が、疑惑の港湾企業ロドリマール社に共同出資しているためだ。4日付エスタード紙が報じている。
港湾条例疑惑は、17年5月にテメル大統領が出した大統領令に関連したもので、元側近を仲介役にして、特定の港湾企業に有利な港湾運営契約を延長させて不当な恩恵を与え、代わりに収賄を受けていた疑惑だ。
その中心となった企業がサントス港を管轄するロドリマール社であることが、問題を国際的なものにした。それは、同社が属するグループ企業「ペーロラ」の筆頭株主をつとめるのが、カナダの肥料企業「ニュートリエン」社だったからだ。
ニュートリエンは、この汚職疑惑が米国での同社の企業展開に悪影響を及ぼすのではないかと恐れ、ニューヨークにある同社の株式暴落の可能性を懸念している。
現時点で、ペーロラ社には連邦警察によって起訴された人物はいない。だが、連邦警察は既に、同社から弁護士のフラーヴィオ・カラザンズ氏に37万5千レアルが支払われていたことに関する捜査開始を要請済みだ。
この支払は2014年から15年にかけて、3万7700レアルずつを10回に分けて行われたとされており、カラザンス氏も、不正な金の流れを隠すために、偽造の領収書を発行していたことを認めている。実際の金の行き先には、リンク・プロジェクトという、MDBの政治家絡みの団体が含まれている。
ニュートリエンは既に米国法務省に、サントス港湾疑惑に関する書類やメールを証拠として提出している。また、ペーロラ社も、ブラジルの連邦検察庁にこれらの証拠を提出するなど、捜査への協力姿勢を見せている。
現時点では米国法務省がこの港湾条例疑惑に関する捜査に協力するかどうか不明だが、同省はかつて、ラヴァ・ジャット作戦におけるオデブレヒト社への捜査の協力をした例がある。
連邦検察庁は、テメル大統領をはじめ、エリゼウ・パジーリャ官房長官やモレイラ・フランコ鉱山動力相ら、MDBの重要政治家がこの港湾条例疑惑に関与したとの疑いを持っている。彼らへの捜査は任期の切れる19年以降と見られている。