ブラジル地理統計院(IBGE)が4日、10月の工業生産高は9月比で0・2%の上昇に止まったと発表した。
7月から9月まで3カ月続いた前月比マイナスをストップさせたが、依然、伸び幅は小さく、今年の工業生産拡大に寄せられていた期待を裏切る形となった。
産業開発研究院(Iedi)所属エコノミストのラファエル・カジニン氏によると、これでは「景気回復」の言葉を口にするのもはばかられる状態だという。
2016年一杯をもって、2014年半ばから続く不況に終止符が打たれ、統計上は、2017年第1四半期から今年の第3四半期まで、7四半期連続でのGDP成長が続いているが、工業界の低成長は尾を引いている。
専門家たちは、今年の不調の主な理由は、「5月に発生したトラックスト」、「IMFに支援を要請せざるを得ないほどの、隣国アルゼンチンの経済危機」、「10月選挙までの不確実性」の三つだとしている。
雇用が回復せず、消費者購買力も落ち、内需が拡大しない中でこれら3要因が起こり、低調な結果に繋がった。
「今年一年の累積を見ると、今年の後半は生産ペースの落ち込みが激しい」とIBGEの工業月次調査部門の責任者アンドレ・マセド氏は語る。
IBGEのマセド氏とIediのカジニン氏は共に、今年の累計の工業生産成長率は、2・6%増だった昨年2017年を下回る可能性を指摘している。
工業生産は2014年から2016年にかけての3年連続で減少しており、累積減少率は16・7%に及ぶ。2017年から今年にかけての回復も低調で、今年10月の工業生産高は、2008年に起きた国際的な経済危機からの回復期だった2009年3月の水準に過ぎない。
エコノミストのマウシリオ・ナカホド氏は、「工業生産高の数値は、強い景気回復が起こっている事を示すものではない。短期的視点で見れば大きな回復は望めないが、長期的視点で見れば、多少望みはある」と語っている。(5日付エスタード紙より)
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