ジャイール・ボルソナロ(社会自由党・PSL)次期政権への政権移行チームが、国家陸路輸送庁(ANTT)、民間航空監督庁(Anac)、国家水上輸送庁(Antaq)の3交通関係監査機関の統合を協議していると、6日付現地紙が報じた。
3機関は統合されて、国家輸送庁となる可能性がある。ボルソナロ次期大統領の補佐官によると、統合の目的は、各機関に及んでいる政党の影響力を取り除くことだ。
ANTTとAntaqは、1996年から2001年までのフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ政権(民主社会党)時代に、政府と交通輸送関連の民間企業の仲介役を果たすために発足した。しかし、各機関のトップが政治家によって指名される事で、時と共に、独立性が失われる結果にもなっていた。
また、現行政府と次期政権が優先課題としている、幹線道路や港湾などのインフラ設備の経営権を民間企業に委託する計画(コンセッション)の妨げになっていると、政権移行チームは評価している。
ANTTに関しては、庁内にはびこる、共和党(PR)の大物ヴァルデマール・コスタ・ネット氏の影響力を取り除きたい意向だ。
ボウロナロ次期大統領はまた、Antaqからジャデル・バルバーリョ上議(民主運動・MDB)が指名した長官を取り除きたいとも考えている。バルバーリョ上議は、上院議長や大臣も務めた事がある大物の長老議員だが、政権移行チームは、Antaqは「まともに機能していない」と、低く評価している。
ボルソナロ次期大統領は、コンセッションを、〃飛ぶが如き速さ〃で行おうとしている。特定の政党に指名された監査機関のトップを更迭し、機関内部の有能な職員を効果的に働かせる事が、コンセッションを迅速に行うための手段として検討されている。
現在の運輸港湾民間航空省から改称されたインフラ省のトップに、これまでコンセッション推進に関わってきた、タルシジオ・フレイタス氏を据えた事はその顕れだ。官民合同投資計画(PPI)特別局長のアダウベルト・ヴァスコンセロス氏の留任も濃厚だ。
フレイタス次期インフラ相は、ルーラ政権(労働者党)時代から続く、共和党(PR)の陸上交通監査部門支配を終わらせる命を受けている。航空交通部門の航空インフラ業務公社(インフラエロ)もPRの影響下にあり、コンセッションに反対している。
ブラジル道路コンセッション管理業者会(ABCR)会長のセーザル・ボルジェス氏は、交通監査機関の統合は必ずしも同部門の改善を意味しないと指摘している。PRやMDBは、同件に関するコメントを避けた。