ミシェル・テメル大統領は7日、北部ロライマ州に今年いっぱいの期限で直接統治令を出す事を宣言したと、7~10日付現地各紙・サイトが報じた。
同州は、隣国のベネズエラからの難民流入や、それに伴う治安悪化に苦しんできた。直接統治令の直接の原因となったのは、3カ月も給与が支払われていないとして、刑務所職員や軍警をはじめとする州公務員が事実上のストに入った事だ。連邦政府は11月13日にも、ロライマ州の刑務所機構の管理及び少年院の管理部門を連邦政府が統括する協力協定を出していたが、情勢悪化は食い止められず、直接統治令発令となった。
同州では、覆面姿の刑務所職員が「刑務所職員は尊厳を求める」と書かれたプラカードを掲げて街頭に出て、タイヤで道路をブロックした上に、そのタイヤを燃やした。
直接ストを行う権利がない軍警は、妻や親族達が警察署の前で泊り込みを行い、軍警が署から勤務に出られないようにするという形の抗議行動を行っている。この泊り込みは州知事の公邸前でも発生した。
執政官として派遣されるのは、10月に行われた知事選で当選し、来年1月1日に州知事に就任する予定だったアントニオ・デナリウム氏(社会自由党・PSL)だ。連邦政府は1億5千万から2億レアルに及ぶ特別補正予算を組んでロライマ州に送り、遅れている公務員の人件費その他の支払いにまわす。直接統治令と、特別補正予算を定めた暫定令は、今後、議会の承認が必要だ。
リオ州に出されている治安部門限定の直接統治令とは異なり、今回はロライマ州政全体が対象だ。ボルソナロ次期大統領にも、直接統治令発令は知らされた。直接統治令発令で、スエリー・カンポス現州知事(進歩党・PP)は、職務を退くこととなる。
直接統治令は、7日夜に急遽開かれた、テメル大統領、セルジオ・エチェイェン安全保障室長官、ラウル・ジュングマン治安相、エステベス・コルナゴ企画相、グスタヴォ・ロシャ人権局長、グラーシ・メンドンサ総弁護庁(AGU)長官、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)出席の国防審議会で正式に決定された。
テメル大統領は会議後の会見で、「カンポス知事にも、最善策は直接統治令である事を了解してもらった。ロライマ州に平和をもたらしたいと考えている。これで、ストを行っている刑務所職員や警察も州民の平和を第一に考え、職務に戻る事を期待する」と語った。
事実上、知事就任が3週間早まったデナリウム氏は、ベネズエラ国境の閉鎖やブラジルに流入したベネズエラ人難民の本国送還を主張しているが、ボルソナロ次期大統領は、「ベネズエラ人を〃モノ〃のように扱うべきではない」と語っている。
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