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《ブラジル》電力公社エレトロブラス、アマゾナス州の配電担当子会社を売却=電力環境改善なるか?

モレイラ・フランコ鉱山動力相(Valter Campanato/Agencia Brasil)

モレイラ・フランコ鉱山動力相(Valter Campanato/Agencia Brasil)

 ブラジルの電力公社エレトロブラス社は10日、アマゾナス州の配電担当子会社、アマゾナス・エネルジア社を売却したと11日付現地各紙が報じた。
 公開入札はサンパウロ市証券・先物取引所で行われた。だが、応札したのは、コンソーシアム(複合企業体)のオリベイラ/アテン(O&A)だけだった。
 オリベイラ・グループはアマゾナス州で発電業務を行っており、アテンも同州で燃料供給事業を行っている。O&Aは、8月に行われた入札でも、ロライマ州の配電担当会社を落札した。
 配電会社の入札では、「経営権取得後、どれほど大きな割引を消費者に提供できるか?」という、値下げ幅の大きさで〃せり〃が行われる。O&Aの提示は、「割引無し、エレトロブラスに5万レアルの支払い」だった。O&Aは、アマゾナス・エネルジアに4億9100万レアルの増資を行う事と、5年以内に27億レアル規模の設備投資を行う事が義務付けられる。また、22億レアルの負債も丸抱えしなくてはならない。
 エレトロブラス側も既に、入札を容易にするため、アマゾナス・エネルジア社の負債130億レアルを引き受けている。
 モレイラ・フランコ鉱山動力相(民主運動・MDB)は、「配電会社民営化問題で、最も大きな懸案となっていたのが、アマゾナス州のアマゾナス・エネルジアだった。同社は赤字を垂れ流していた」と語っている。
 テメル政権にとって、アマゾナス・エネルジアの民営化はかねてよりの難問だった。抱える負債が大きく、民間にとって魅力的ではなかった上、電力の質も酷い状態が続いていたためだ。
 アマゾナス・エネルジア民営化を容易にするため、連邦政府は昨年末から暫定令と法案を出してきたが、ことごとく議会にはねつけられていた。最近も「配電会社の負債を電気代に加算できる」とする暫定令を出したが、議会の承認はまだ得られていない。エレトロブラスのウィルソン・フェレイラ・ジュニオル社長は、「何とか暫定令が承認されて欲しい」と語っている。

入札に「待った」をかけた労働地裁

 入札が行われた直後、地方労働裁判所は入札の整合性を認めないとする仮判決を出した。エレトロブラス社員らからの、「民営化反対要請」と「民営化がもたらす労働環境への影響の調査要請」に応じた形だ。
 入札会場にいたエレトロブラス社と社会経済開発銀行(BNDES)の代表者たちは、裁判所の決定を記者たちから知らされたが、共に平静を保った。エレトロブラス社の法務顧問リカルド・ブランドン氏は、「既に50件もの類似の法的係争の標的となり、慣れている。入札無効の仮判決は皆、最後には退けられてきた」と語っている。