ブラジリアで民主党(DEM)議員たちと12日に会合したジャイール・ボルソナロ次期大統領(社会自由党・PSL)は、労働法を一層企業家側に有利に改正していく方針を示したと、13日付現地各紙が報じている。
労働者の権利を手厚く保護する内容の労働法は昨年、雇用の自由化、流動化を目指すテメル政権(民主運動・MDB)によって改正され、短期就労や就労時間分だけの給与支払いを認める雇用形態が設けられたりした。
同氏はさらに、労働者の権利保護だけに熱心すぎるとして労働検察(MPT)を批判し、環境監査機関や環境保護法が、農牧畜業の発展を妨げていると批判した。
「憲法第7条が、(雇用の自由化を)がんじがらめにしていることは承知している。しかし、雇用には可能な限り柔軟性を持たせ、フレキシブルにすべき」とボルソナロ氏は語った。
憲法第7条には、30日間の有給休暇、13カ月給、出産休暇、失業保険、勤続期間保障基金(FGTS)など、都市労働者や農村労働者の権利について定められている。しかし、ボルソナロ氏は、どの項目を批判し、変更しようとしているのかには言及しなかった。
ボルソナロ氏は、先週4日にも、「(改正で労働訴訟は減ったが)ブラジルではまだ、自分でビジネスを起こし、従業員を雇う側に立つのは大変だ。まるで拷問だ。私が何か新しい事業を始め、それが失敗した時に何が起こるか、知っているかい。権利を主張する労働者に訴えられ、全てを剥ぎ取られるだけだ。こうした現状を変えなくてはいけない」と語っている。
ボルソナロ氏は雇用者側に有利な方策を採れば新規採用の機会が増えると考えている。こうした方針は、既にMDBやブラジル共和党(PRB)にも示されている。
ボルソナロ氏はMPTの組織形態に対しても、「MPTは軍のような組織力やヒエラルキーがない。部署ごとに勝手に動いている。活発な少数派が、より大きな働きをしている多数派の仕事を台無しにする現状には終止符を打たないと」と批判した。
ロナウド・フレウリーMPT局長はボルソナロ氏の発言の後、「『企業家になることはこの国では拷問のようなもの』との物言いは一部当たっているが、被雇用者も苦しんでいる。労働基準違反はおびただしく、事前通知なしでの解雇も多発。奴隷労働のような状況におかれている人も少なくない」と語った。
ボルソナロ氏はさらに、大統領選の際、従業員たちにボルソナロ氏への投票を呼びかけた、企業家のルシアノ・ハン氏に1億レアルの罰金を科すようMPTが求めていることも強く批判した。