ブラジル世論調査・統計機関(Ibope)は13日、ブラジル人の4人に3人は、「ジャイール・ボルソナロ次期大統領と政権移行チームはここまで、正しい道を歩んでいる」と答えたと14日付現地各紙が報じた。
この調査は11月29日から12月2日までの間に行われ、ブラジル全土127の市の住民2千人が回答した。
ボルソナロ次期大統領と政権移行チームの決定を支持するとした人は75%で、次期政権は誤った道を進んでいると答えたのは14%、分からない、答えたくないが11%だった。
世帯収入が法定最低賃金の954レアルに届かない層では、「ボルソナロ次期大統領はよい方向に進んでいる」と答えた人の割合は70%。世帯収入が法定最低賃金の5倍、4770レ以上の層では82%だった。
調査ではボルソナロ政権への期待度も問われ、「非常に良い」25%、「良い」39%、「普通」18%、「悪い」4%、「非常に最い」10%、「わからない」4%だった。
ただし、調査は12月2日で終わっているため、その後に発覚した、長男のフラヴィオ氏の元運転手を巡る120万レに上る不審な金の動きを巡る疑惑や、妻ミシェレ・ボルソナロ氏宛の小切手疑惑の影響は反映されていない。
「次期政権の優先課題は何か」の問いには、「公共医療の質の改善」と「雇用創出」との答えが多く、「次期政権が直面する主要な問題は」との問いでも、この二つが上位にランクされた。
「次期大統領が唱えた政策で思いだすものは」との問いには、12%が「社会保障制度改革」と答え、9%が「銃規制緩和」、9%が「汚職撲滅」、7%が「法的責任年齢引き下げ」、7%が「蔓延する暴力の撲滅」、6%が「省庁統合、削減」を挙げた。
国内外から批判牽制の声も
今回の調査では、本来の支持層と「選ばれた以上は支持(期待)する」人が合わさり、高い期待値が出た。だが、次期大統領や次期閣僚の言動には国内外から疑問の声も多い。
農村系議員への配慮のため、環境保護問題に取り組む意識は低く、現政権が進めていた来年の国際環境会議招致を止めさせた上、地球温暖化抑制を目的としたパリ協定からの離脱も再度、示唆した。だが、フランスのマクロン首相は、「南米共同市場(メルコスル)とEU間の自由貿易協定(FTA)締結はブラジルがパリ協定を遵守することが条件」と語っており、ドイツのメルケル首相も、「協定締結までの時間は残りわずかだ。ブラジルがボルソナロ政権に移行した後は、さらに締結が難しくなるだろう」と語っている。