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《ブラジル》エンブラエル=米航空機大手ボーイング社と共同出資会社を創設=軍用機部門でもさらに一社

エンブラエル社の機体(参考画像・Antonio Milena/Ag. Brasil)

エンブラエル社の機体(参考画像・Antonio Milena/Ag. Brasil)

 アメリカの航空大手ボーイング社とブラジルの航空機メーカー、エンブラエル社は17日、共同出資(ジョイントベンチャー)で新会社を設立すると発表した。17、18日付現地各紙・サイトが報じている。
 新会社はエンブラエル社の商用航空機部門を本体から切り離して創設されるが、設立にはブラジル政府の承認が必要となる。
 出資比率はボーイング社80%に対し、エンブラエル社20%だ。新会社の資本総額は52億6千万ドルで、ボーイング社は当初の見込み額より4億ドル多い42億800万ドル、エンブラエル社は10億5200万ドルを出資する。7月にこの動きが明らかになった時点では、新会社の資本規模は47億5千万ドルと報じられていた。
 エンブラエル社の出費は、新会社に対する10億5200万ドルの資本投入だけに止まらない。自社工場から、商用航空機製造ラインを切り離す必要があるため、提携のための出費は、総額30億ドルとなる。
 エンブラエル社株は発表直後に7%上昇し、17日の取引を前日比3・09%高で終了した。だが、ボーイング社株に大きな値動きはなかった。
 両社はまた、エンブラエル社が製造していた軍用給油/輸送機、KC―390の新規市場開拓を目的とした、新たなジョイントベンチャーの設立でも合意した。このジョイントベンチャーは、設立前にエンブラエル社単独で進めていたKC―390機の販売契約には関与せず、今後の新規契約だけに関与する。
 ブラジル政府は、新会社がKC―390以外の軍用機を製造販売しない事、軍用機を扱う新会社の資本比率はエンブラエル側が過半数を保つ事を望んでいたが、これらもかなえられた。
 現在のところ、ブラジル国内のエンブラエル工場が米国に移転する可能性はない。エンブラエル社は工場の米国移転に関して拒否権を持ち、また、自分の所有する株をいつでも処分できる契約になっている。
 エンブラエル社の従業員の内、どの部門がボーイング社との新会社に行くかなど、具体的な編成は今後詰められる。
 エンブラエル社は1994年に民営化されたが、ブラジル政府は議決権を担保する「黄金株」を持ち続けていた。
 両社の提携交渉が明るみに出た際のテメル大統領の最初の反応は、「エンブラエルは売らない」だった。「黄金株を持つブラジル政府の売却拒否」で始まった交渉は、17日に決着した。今後は30日以内(新年1月16日まで)を期限として、ブラジル財務省検察総局(PGFN)、ブラジル空軍経済財政局の承認待ちとなる。
 アミウトン・モウロン次期副大統領は、テメル大統領がこの件でジャイール・ボルソナロ次期大統領と話し合うならば、政府の承認が出るのに時間はかからないだろうと語っている。