サンパウロ州軍警監察局と、サンパウロ州検察局は18日、麻薬密売者から賄賂を受け取り、組織的犯罪行為を幇助していた疑いで、サンパウロ市南部ジャルジン・マラジョアラ区にある軍警第22大隊所属の軍警54人を逮捕したと、19日付現地各紙が報じた。
麻薬密売者は大型犯罪組織の州都第1コマンド(PCC)とも関わりを持っていた。軍警は折々の賄賂や月々の袖の下と引き換えに、押収した薬物を犯罪者に返したり、密売者の手下を釈放したり、同僚警官が密売現場に近付いているぞと教えたりしていた。その他、ライバル組織所属の犯罪者を恣意的に逮捕するという形の援助までしていた。
軍警が関与していたとされる疑惑は52件で、122件の罪状が列挙された。これらの罪状は、「汚職」「公金横領」「身分証明書偽造」「守秘義務違反」「薬物密売関与」「官物私用」「背任」「犯罪組織形成」の8種に分類できる。
18日に逮捕された軍警の内、6人は、警察署内または自宅に麻薬を所持していたか、銃の不法所持での現行犯逮捕だった。同日は、違法な武器10丁と8万レアルの現金が押収された。
逮捕された54人の軍警の事情聴取を行ったサンパウロ州軍警監察局のロドリゴ・ダ・シルヴァ大尉は、5人の麻薬密売者への逮捕状発行も請求、4人がその日の内に逮捕された。また、18日は70件の家宅捜索も行われた。合計120件を超す逮捕令状、家宅捜索令状は、サンパウロ州、リオ州、ミナス州の19市で執行された。動員された警察官は総計450人に上った。今回の作戦は、軍警監察局が行ったものの中では史上最大級の規模の一斉逮捕だった。
逮捕された軍警の中には士官はいなかった。54人の階級は、副中尉1人、軍曹7人、伍長13人、兵士33人だった。
今回の捜査は、今年2月に「軍警が、捕らえた密売者から賄賂を受け取り、釈放した」との匿名通報が軍警監察局に入った事で始まっていた。
監察局が軍警の電話を傍受したところ、第22大隊を中心に多くの軍警が絡んだ犯罪網が明らかになった。傍受された通話は合わせて8万2千件に及ぶ。〃レヴォルタ〃という通称で呼ばれていた密売者のジュリオ・セーザル・シウヴァは、軍警に月々定期的に金を渡してもいた。レヴォルタはPCC構成員だ。
監察局は、金の受け渡しを3月に1回、4月から6月には2回ずつ関知した。また、レヴォルタと関わりがある軍警だけでその数は十人を超えていた。
賄賂の金額は、ケースに応じて300レアルから1万レアルまで様々だ。武器、弾薬の密売で逮捕された密売者釈放のために軍警が5万レアルを要求した例もあったが、結局4千レアルまで値切られた。金は4人で分けたという。